捕われて-16-


ジャックと鬼柳のデュエルが行われている最中ディヴァイン達は、急いで車の元へと走っていた。

その間にもディヴァインの上着は、血で赤く染まりだしている。

早く手当てをしないと何かしら菌でも付着したりしたら取り返しがつかない。

このままだと追っ手に追いつかれるのも時間の問題。

カーリーは、辺りを気にしながら走っている。

「お〜い!!居たぞ!!」

「早く捕まえろ」

心配していた通り追っ手に見つかってしまった。

今の状況じゃ捕まるのも時間の問題。

「ディヴァインさん私にデュエルディスクを貸して下さい、。そしてこのままアンジェラを連れて逃げて下さい。」

「君は、どうするんだい?」

「私は、追っ手を食い止めます。」

「ちょっとカーリー何言っているの?!」

「私だってデュエリストのはしくれよ。こんなピンチぐらい切り抜けてみせるって。だから安心して。」

「デュエリストって貴女・・・」

「アンジェラ、私だって怖い。怖いけどこのままじゃクィーンを助けられない。今の状況じゃディヴァインさんは、

デュエルなんて出来ない。それにねディヴァインさんが車を運転している間、誰かがクィーンを守ってあげないと

いけないの。アンジェラ貴女しか居ないの。」

顔を強張せながら手短に自分の意見を述べると立ち止まり。

「クィーンの事頼んだわよ〜!!」

 

「カーリー!!」

「早く行こう。僕達は、遊星ちゃんを助ける為にココに来たんだから。」

「でも・・・」

走るスピードが落ち出して来たアンジェラに

「君達の仲間を信じるんだ。」

「仲間・・・?」

「僕達とは、別行動している仲間が居るだろう?」

「あっ・・・クロウ」

「彼がココに来るまでに新たな仲間を連れてくるかもしれない。否 きっと連れて来るよ。

それとも仲間達が自分達の意志で来るかもしれない。」

確かにディヴァインの言う通りだ。

今自分達とは、別行動でクロウがコッチに向かっている。

それにサティスファクションのメンバー達だってクィーンの為に来るだろう。

今は、彼等にこの場を託すしかない。

アンジェラは、早く彼等が来る事を祈りカーリーが無事、自分の前に姿を見せる事を願った。

 

 

ディヴァインからデュエルディスクを借りたカーリーは、自分のデッキを差し込みながら

「貴方達と戦うのは、初めてね。お願い私にも大切な人達を守る力を貸してフォーチュン・レディ達。」

言葉に言い表せないけどデッキから何か自分を励ます様な気を感じた。

カーリーは、表情を引き締め追っ手を睨み付かせる。

「ほぉ〜この俺達とデュエルでもしようってのか?面白い相手になってやるぜ!!」

男が自分のデッキをディスクにセットするのと同時に

「「デュエル」」

 

+++

 

何とか車の所まで逃げて来た。

急いで後部座席の扉を開けアンジェラが遊星を抱き抱える形で乗り込みディヴァインが運転席に乗り込む。

未だに遊星の顔にディヴァインの上着が掛けられている。

外して彼女の顔を見る事なんて出来ない。

上着を掛けられる前に見た遊星の顔が頭から離れない。

思い出すだけで足が竦み遊星を抱き抱える事なんて出来なくなる。

恐怖故に遊星を抱き抱えたくない気持ちと今自分が抱き抱える事で車の振動を遊星に直接かかるのを押さえる

事が出来る気持ちとの板挟み状態でいた。

(こんな時なら貴女ならどうした?カーリー)

今追っ手とデュエルをしているであろう親友。

彼女は、自分に出来る事を選んだ。

もし彼女がココに居たらきっと遊星を抱き抱え守ったに違いない。

(デュエル以外で貴女に出来る事は、私にだって出来る。)

何度もカーリーの姿を思い浮かべながら自分の気持ちに暗示をかけていく。

アンジェラの心の葛藤を感じながら

(遊星ちゃん本当に君は、凄いよ。君一人を助ける為にいろんな人達が動く。)

そう言う自分も遊星の為に動いているのだが・・・。

「そんな不安そうな顔をしないで自信を持って。」

「はっ・・・はい。」

アンジェラは、遊星を抱き抱えながらココに居ないカーリーの幻影に縋った。

ディヴァインは、ミラー越しにアンジェラを見ながら

「君に判断してもらいたい事があるんだが・・・」

「えっ何でしょう?」

「本当なら遊星ちゃんかジャック・アトラスに訪ねたい所なんだけど遊星ちゃんは、気を失ったままだしジャックは

アキと一緒にさっきの場所に居る。これは、君にとって過酷な判断になるけど時間が無いんだ。」

ミラーに映るディヴァインの表情が余りにも真剣なのでアンジェラは、固唾を飲みながらディヴァインに訪ねた。

「今の僕やアキの力では、遊星ちゃんの傷を全て治す事が出来ない。君に二者択一で選んで欲しい。」

 

++++

 

「頑張ったなカーリー。」

「よくやった。」

追っ手の足止めに頑張っていたカーリー。

彼女の精神が限界に達し様とした時、途中仲間と合流したクロウ達によって相手を打ち負かす事に成功した。

カーリーは、何とかクロウに遊星がアンジェラ達と逃げた事を伝えるが何処に逃げたのかは、解らなかった。

そこに鬼柳とのデュエルを終えジャックとアキも合流した。

「イヒヒヒ・・・上手く鬼柳京介を倒した様ですね。十六夜アキ。」

不気味な笑い声を上げながら数名の部下を連れてイェーガーが現れた。

「イェーガー・・・貴方が出て来るなんてどう言う風の吹きまわしかしら?」

「そう言わないで下さいよ。今回我々は、鬼柳京介捕獲の為に来たのですから。」

「鬼柳京介の捕獲?」

何の事だか解らないアキの眉間に皺が寄る。

「こんな所で話すのは、不粋と言うモノ。追い追い話しますよ。イヒヒヒヒ・・・」

不気味な笑いと共にその場から立ち去るイェーガー。

そんな彼を見送りっているアキ。

「そうだジャックのD・ホイール、敷地の外に止めてあるから遊星の後を追え。」

「遊星は、ドミノ中央病院に居るわ。」

「アキさんどうしてクィーンの居所を?」

「今は、そんな事聞いている場合?さっさと行くわよ。」

足早にその場所から離れるアキ。

それを追う様にその場に居た者達は、歩を進めた。

 

ジャックは、自分のD・ホイールに乗りアキは、クロウが運転する車に乗り込む。

行き先は、先程告げたドミノ中央病院。

しかし今自分達の居る場所からドミノ中央病院までの普通ルートは、渋滞に巻き込まれる恐れがあった。

早く行きたいのに・・・そう思っていると

「近道なら私が知っています。」

カーリーが声を上げた。


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