王様の苦悩


――2月14日―― 海馬編

昨日から気持ちが全く落ち着かない 

社長の様子がおかしいと部下達は囁きあう
「今日は、バレンタインデーどこかの御令嬢からの贈り物でも待っているのだろうか?」「社長も年頃だし そんな相手ぐらい居たって・・・」
と言い合いながらも気になる・・・

そう噂をされているとも知らない海馬
遊戯が今日自分の所に遊びに来るのかどうかそればかり考えている 
お陰で仕事の能率が全く思わしく無い 
上の空状態 部下への示しが着かない 
だが自分が誰かが来る事をこれ程 待ちわびた事なんてあっただろうか? 
しかも約束なんてしていない相手だ 
まだ自分の想いを伝えていない相手 
そして自分も相手の気持ちを知らない

《遊戯》その名前を心の中で呟くと胸の中が甘酸っぱい想いに包まれる 

部屋に積まれた段ボールの山 
これらが全て遊戯から貰ったモノならどれ程 嬉しい事だろう きっと無理してでも食べるだろう 
クククッ・・・この俺が手に入れ様としても手に入れられるのかが解らないモノが在ったとはな・・・ 
今日 遊戯が来なかったら明日朝無理矢理連れて来よう 
きっと嫌がり抵抗してくるだろうだがそんな事関係無い 
俺が貴様の事をどれ程 想っているのか
 この気持ちを伝えるだけなのだからな 
思わず浮かべてしまう笑み それは楽しそうであり穏やかなモノ 
ピィッ
受付からの呼び出し
『社長 遊戯様がお見えです・・・』
電子音の後に告げられる名前に心臓が高鳴る 
まさか先程まで想い考えていた名前が出ようとは無神論者である自分でもこの時ばかりは神に感謝せざる得ないだろう

心の中で<遊戯早く俺の元に来い>と呪文の様に唱える反面
どう遊戯に接していいのか解らない
普段の日なら心臓が高鳴りつつも表面上では、平静を装って居られるが今日と言う特別な日は別だ
やはり好きな人からチョコは、欲しくなる

秘書に連れられてこの社長室に向かっている遊戯・・・




遊戯編 | 2/14総集編