14.夜
海馬は、約束どおり午後からM&Wを遊戯と
楽しんでいた。
初心者の遊戯相手に余裕な顔をしていたが
何の事ない遊戯は、海馬をドンドン追い詰めて
いくばかり・・・
海馬は、かろうじて遊戯に勝った。

この俺が初心者相手に梃子摺るとわ・・・

焦りより楽しいと思った。
どんな相手とM&Wをやっても心が昂ぶる事は、
無かったが遊戯相手だと楽しいと思うし心が
昂ぶる。
こんな相手を手放したく無い傍に置いて
置きたいと思う心が強くなる
どうすればいいのか考える
その事でさえ楽しいM&Wをやっている時と同じ
ぐらいに・・・

夕方になって海馬の弟モクバが学校と会社から
帰ってきた。
海馬は、約束どおり遊戯にモクバを紹介した。
兄が屋敷に見知らぬ者を泊らせその上、己の傍
に置いている・・・
そして自分にその相手を紹介してくれた。
モクバは、そんな兄の行動に驚きは、したものの
その原因が遊戯に有ると思った。
今迄、他人に興味を見せた事の無い兄・・・
仕事ばかりしていた兄の事を心配していたモクバ
だったが遊戯が居てくれたらきっと兄は、変わって
くれると思い遊戯を受け入れた。
海馬の性格は、海馬が生まれて間もない頃から
天界で見守っていた遊戯には、良く判っていた
でも何も言わず初めて会ったように(海馬にしてみ
れば初めてなのだが)振舞っていた。

夜になって遊戯は、海馬に
「今日は、サンキュー!!楽しかったぜ!!」
礼を言うと
「フン・・・約束だったからな・・・さぁ〜もう寝るぞ」
「おう!」
そう言ってソファに腰掛てマントを広げようとする
遊戯を見て海馬は、
「貴様今夜もソファで寝るつもりなのか?」
「そうだぜ?ここのソファ寝心地がいいから」
そんな遊戯に幾分頭痛を覚えるが

そう言えば遊戯の部屋を用意していなかったな・・・
ん・・・このままこの部屋を使わせるか・・・

傍に置いて置く事しか考えていなかったので部屋の
事まで頭が回っていなかったがあえて用意する必要
が無いと思い
「俺のベッドで寝ればいいだろ?」
「そんなお前のベッドを使うなんて・・・悪いぜ」
驚きながらも申し訳なさそうにする遊戯

海馬・・・お前は、必要以上に人と一緒に居るの苦手
なんだろ・・・だったら夜ぐらい俺が傍に居ない方が
いいぜ・・・

そんな事を思っている遊戯の傍に歩み寄り
「そのマントは、貴様にとってそんなに傍に置いて
置きたいモノなのか・・・」
自分の思惑と違う事を聞かれ遊戯は、マントの方に
眼を移しながら
「ああ・・・傍に置いて置きたいほど大切だぜ・・・」

これは、セトが俺にくれた唯一もモノ・・・
そして唯一の形見の品・・・

海馬は、物思いに耽出した遊戯に何とも言えぬ思い
で腕を引っ張りあげながら
「俺の前で余所見をするな貴様は、俺だけを見ていろ
!そんなモノ捨ててしまえ!!」
海馬のあんまりな言葉に
「無理言うな!お前だけ見ていたら御飯は、食べられ
ないし歩いていたら転ぶぜ!それにこれは、セトが俺
にくれた唯一のプレゼントだぜ」
自分と同じ名前・・・ただ発音が違うだけの見たことの
無い相手・・・海馬は、マントを取り上げようとしたら
「駄目だぜ!!これは、もうこの世に居ないセトが残し
た形見の品なんだ!!」
何とも言えない胸苦しい感情が海馬を襲うが表情に
出さず遊戯の腕を掴み
「・・・もう寝るぞ・・・」
そう言いながら遊戯を隣の寝室に連れていった。

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