16.電話
眼が覚めたら隣で寝ているはずの海馬の姿が無かった。
海馬が寝ていた辺りのシーツは、冷えていて
彼が早い時間に出て行ったことが判る

あ〜あ・・・ちゃんと御見送りしたかったぜ

と思っていてもそもそもの原因が自分にあるとは気付いて
いない遊戯は、やや膨れっ面をしながら隣を見ていたが

セトの夢を見れたの海馬のおかげかな?

と夢の事を思い出しながら不意にマントの事を思い出した。
マントは、遊戯の枕元にキチンと畳んだまま置いてある事
を確認しながら夜まで海馬の帰りを待つ事にした。

一方、遊戯が天界から姿を消した事がもう1人のユーギの
耳に入ったもののもう1人のユーギは、穏やかな表情で
「彼が姿を隠す事なんて珍しくないよ・・・」
と言うが下位の天使が
「そうも言っていられないのです!ユーギ様これを御覧下さい」
恐る恐る差し出される紙・・・
ユーギは、その書面を読むや否やすぐさま
「遊戯を至急探して!僕も手伝うから!」
と下位の天使に指示を出し自分も即出かける準備をした。

何て事なの!もう1人の僕!何て事をしたんだよ!堕天
したいの??


夜になり天界の動きが気になりだした遊戯は夜空を見上げながら

きっと今頃俺がしでかした事で大事になっているんだろうな・・・
でもこうするしか俺には出来なかったんだ・・・

思いに耽っていると室内の扉が開き海馬が入って来た。
「海馬お帰りだぜ!仕事御苦労様」
足取り軽やかに海馬の元に走り寄ると急に海馬に抱き締められ
てしまい身動き出来ない状態のまま
「ただいま・・・」
海馬の声を聞いていた。
海馬は、帰宅しても遊戯が居るのかどうか不安だった・・・
しかし私室に入ると遊戯が自分の下に走り寄ってくるのを見て
安心感と労をねぎらう言葉に照れてしまい遊戯を抱き締めて
しまった。
ソファで大人しく座っている遊戯に
「遊戯  貴様にプレゼントだ」
綺麗にラッピングされた箱を渡すと遊戯は、嬉しそうに
「開けてもいいか?」
尋ねてくると海馬は、素っ気無く「ああ」と返事をするだけ
それでも海馬は、しっかり遊戯の隣に腰を下ろし遊戯の
表情を見ていた。
箱の中から出て来たのはメタリック調の薄いブルーかかった
携帯電話だった。
遊戯は、その色合いを見て

まるでセトの召喚獣のブルーアイズみたいな色だぜ・・・
そう言えばこの前 海馬とやったM&Wにブルーアイズのカードが
あったな・・・セト亡き後お前だけでも望みを叶えてくれたんだな・・・
セトの魂を護る為に

穏やかな笑顔を湛えて携帯電話を見つめる遊戯に海馬は
「喜んでもらえたかな?」
と尋ねると
「ああ・・・嬉しいぜ」
携帯電話を抱き締める遊戯に海馬の胸になにやら暖かいモノが
芽生えたような感じがした。
その後、海馬は遊戯に携帯電話の使い方を教えながら遊戯とセト
の関係を聞き出していたのだった。

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