10.変態
ホテルに宿泊して数日が経ったが遊戯の様子が
少しおかしい・・・何か隠しているように感じられる

仕事を終えホテルへ戻って来てそう感じた。

遊戯は、出来るだけ何時ものように接してくるの
だが俺を誤魔化す事なんて出来ると思っている
のか?

そう思うものの遊戯から言って来るのを待ってい
たのだが一向に言って来ない
業を煮やした海馬は、遊戯の手首を掴みソファに
座らせて問い質すと遊戯が俯き加減に
「変なヤツに付き纏われているんだぜ」
変なヤツは、俺達が宿泊した翌日から遊戯に纏わ
りついているらしい
「そんなヤツ無視をすれば良かろう?」
「無視してるぜ・・・でもしつこいんだぜ!あの変態
野郎」
変態・・・??一体どんなヤツなんだ???
眉間に皺を寄せていると
ホテルの廊下で会うや否や薔薇の花束を寄越して
来たり貴金属を持って来たり胸元や背中が大きく
開いたドレスを持って来たり挙句の果てには、無理
矢理食事に誘うとしたり遊戯が無視をしたり嫌がっ
たりしているのに毎日アレヤコレヤと用意して来るら
しい
それ故にもしホテル外なんかに出ようものなら拉致
されるかもしれないと思いホテルの外にも出られな
いらしいのだが・・・俺としては、部屋からも出ないで
欲しい・・・とは、流石に言えないが俺の遊戯にチョッ
カイを出そうなど許せるワケでもなく相手をどうやっ
て追っ払うか思案していると
「神力で電撃系が使えたら・・・あんなヤツやっつけら
れるのに!!」
「だったら何故使わないんだ?」
「スプラッターになるぜ」
「・・・(スプラッターって・・・)打撃系は?」
「最悪の場合 内臓破裂・・・」
「・・・(内臓破裂!!)手加減出来ないのか?」
遊戯の一言一言に冷や汗をかく思いで尋ねると
「出来るぜ!セトに言われて手加減出来る様に練習
したから!」

何故そこでセトの名前が出る!!胸糞悪い!!

海馬の心中を知らず遊戯は、明日変態野郎を倒す
シュミレーションに入ってしまった。

翌日・・・
海馬は、夕べ遊戯が言っていた相手の事が気になり
昼休憩中ホテルに戻って来たら
「いい加減にしろ!俺は、お前に興味が無いんだぜ
手を離せよ!!」
「綺麗な女性が『俺』だなって似合いませんよ」
何やら遊戯のただならぬ声がと聞き覚えの無い声が
聞えて来たがその後
ドスン!!!
という音が聞えて来た。

もしや遊戯の身に・・・

そう思い駆けつけると廊下には、見慣れぬ男が1人
悶絶をうって倒れているではないか
「俺に手を出そうなんて!!1億年早いぜ!俺に触れ
ていいのは、俺が認めた相手だけだ!解ったか変態
野郎!」
スカート姿で腰に手を当て怒っている遊戯に思わず
見惚れてしまう海馬であったが遊戯の先程の台詞に

俺は、遊戯に認められているのか・・・

などと嬉しさに胸を躍らせながら遊戯に近づきその身
を抱き締めながら悶絶を打つ相手を見てみると
取引先の御曹司では、ないか
「海馬・・・お前どうしてここに?現場から離れていい
のか?」
「かまわん それに今は、休憩時間中だ」
海馬は、襟元のKCバッチに何やら指示を出すと遊戯
の肩を抱きながら部屋に戻ろうとするが
「アイツあのままにしてていいのか?」
「かまわん放って置け二度と貴様に手を出さないよう
にしてやるからな」
「本当か?!」
「ああ・・・だから今は、俺の傍に居て俺の事だけ考え
て居ろ・・・」
セトの事も忘れて・・・

進む  |  戻る  | 一つ前に戻る