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遊戯の自信に満ちた発言に天使は、驚くも彼なら
本当にやりかねないと思った。
「遊戯・・・貴様自身が居らぬのにどうやって俺を
護ると言うのだ?」
蒼い瞳を細め顔を顰めると
「俺は、お前の周りにある自然に俺は溶け込み何
時でもお前の傍に居てお前の心を護ってやる
それは、時には優しく時には厳しく・・・
お前の傍に存在してやるからな!」
自信に満ちた表情・・・
本来 眼に見えぬ存在など信じない海馬だったが
遊戯がそう言うのなら信じてみたいと思った。
しかしそれでも目の前に居る遊戯が消滅するなん
て信じられなかった。
そして遊戯を抱き締めたいと思う心と抱き締めたく
無いと思う心に悩まされていた。
もし抱き締めてその身体がそこに無ければ・・・
そう思うと辛かった。
それに気が付いた遊戯が
「海馬 俺の身体は、もう消えてる・・・このシーツの
中は空っぽだぜ・・・かろうじて残りの神力で浮かし
ているだけなんだぜ・・・」
「もう1人の僕・・・」
暫く黙っていた天使が声をかけて来た。
「相棒・・・さっきはスマナイ・・・
俺 海馬にあの時の俺と同じように後から知らされ
る悲しみを味あわせる処だったぜ・・・」
「ううん・・・誰だって知られたく無い事が一つや二
つぐらい有るから・・・」
瞳に涙を浮かべる天使・・・
しかし泣かないようにしようとしている事が判る・・・
遊戯は、海馬の方を見ながら
「俺 お前と居られて嬉しかったぜ!もし今度肉体
が手に入ったら又、お前の傍に居たいぜ」
消滅するのに肉体云々は、無いだろうと思うが・・・
そう思いながらも海馬は、遊戯の顔に己の顔を近
づけて
「遊戯・・・俺は、貴様を逝かせたく無い・・・」
「海馬・・・」
「貴様は、俺の一生涯伴侶なのだから・・・」
「かっ海馬!」
そう言うと海馬は、遊戯の唇に自分の唇を軽く押し
付けた。
まるで何かの誓いのようなキス・・・
傍に居た天使が2人の最後のキスを見届けながら
本当に遊戯が戻って来る事を祈り信じたいと思った
「海馬・・・俺嬉しいぜ」
涙を浮かべそして笑顔の遊戯・・・
最後に海馬に見せた遊戯の顔は、本当に美しいと
海馬に傍に居た天使にも感じさせた。
パサ・・・
崩れたシーツを抱き締めながら声を殺して泣く海馬
に天使は、声をかけられず暫くその場に居た。 |
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