- 朝食の後 ユキは、風呂敷を1つ瀬人の前に出し
- 「これに着替えろ」
- 瀬人は「?」のまま風呂敷を受け取り中を見て見ると着物が一着入っていた。
- 「これは?」
- 「お前が最初に着ていた着物は、ボロボロだったしだからと言って俺のはサイズが合わない
- 仕方が無いが今着ているのはヒロトの御古だ・・・
- いくらなんでも何時までも御古を着せたままと言うのも変だし新しい着物を買う余裕なんて
- オレには無いから爺ちゃんに頼んで綺麗な反物を貰ってオレが縫ったんだ」
- 頬を微かに染めながらユキが説明すると瀬人まで顔が赤くなるのを感じながら
- 「あっありがたく貰っておく・・・」
- 人の古着を着るなんて自分には信じがたい事なんだが確かにユキのはサイズが合わない
- だからと言ってこの前会った克也のなんかおぞましいモノを感じる
- しかしその古着のお陰と言うか・・・ユキが自分の為だけに着物を縫ってくれた。
- 「一先ず袖を通してくれないか?お前のサイズが判らなかったから・・・ピッタリかどうか心配なんだ」
- ユキに促され瀬人は、着物に袖を通した
- 瀬人が着替えている間ユキは、瀬人の方に背を向けながら
- 「どうだサイズは、問題ないか?」
- 「ああ・・・丁度いいサイズだ。ありがとうユキ」
- 背後から優しく抱き締め耳元に囁くとユキの身体がビクッと振るえた
- 「あっ・・・あの・・・離れてくれないか?」
-
- 瀬人の息がかかる・・・
- 鼓動が激しく高鳴り胸が苦しい
- 呼吸が出来ない・・・
-
- 「ユキ・・・」
-
- ユキは、身体を固くしながら
-
- うわ〜もうダメ!!!!!
-
- 「あっオっオレ洗濯に行って来るぜ!!!」
- 何とかその場から逃げ出したくなったユキは、咄嗟に思いついた言葉を言いながら立ち上がり
- 瀬人の腕から逃れた。
- そんなユキの行動を瀬人は(可愛い)と思いながら笑顔でユキの手を握り
- 「散歩がてら俺も一緒に行こう」
- 戸口に向かった。
-
- 何か手を繋いで歩くなんて照れるぜ・・・まるで恋仲に・・・ってオレ何言ってるんだ〜!!!!
-
- 今なお頬を染め自分の考えている事に内心慌てふためいているユキ
- そんな事をユキが考えているとは、つゆ知らず瀬人は
-
- こんなに自分の胸が温かく感じるとは・・・
- ユキやはり貴様は俺の伴侶になるに相応しい女だ
- 俺は必ず手に入れる・・・貴様を・・・
-
- 村に着くと
- 「ユキじゃないか!元気だったか?」
- 白い髭を蓄えた体躯のいい老人がユキの傍に来ると
- 「この人がユキが言ってた若者か?」
- 「そうだぜ爺ちゃん 瀬人この人は、この村の村長 カノン爺ちゃんだぜ
- オレと姉さんが世話になった恩人でもあるんだ」
- 嬉しそうに瀬人に紹介すると
- 「初めまして私はユキに世話になっている瀬人と申します」
- 克也の時とは打って変わって挨拶をする瀬人
- そんな瀬人をユキは、嬉しく思い
- またカノンは、そんな瀬人に違和感を感じていた。
- 「瀬人殿少しよいか?」
- 「何か?」
- 「ユキ少し席を外してくれんか?」
- 「いいぜ オレ家に戻ってるから」
- そう言うとユキは、長屋の方に足を進めた
- 「ご老人何か御用か?」
- 「そなた侍か忍か?そなたの身から血の臭いがするのだが?」
- カノンの言葉に瀬人は、驚きつつもそれを表面に出す事なく
- 「他人の事は、あまり追求されない方が見の為だと思うが」
- 「そなたユキをどうするつもりだ?」
- 「ユキには、身内が居ないと聞いた。俺はユキを妻に迎えるつもりだ」
- 「その事は、ユキに言ったのか?」
- 「否 正式に言っていない」
- 「だったらユキに何も言わず このまま立ち去ってくれんか」
- 瀬人は、カノンを睨み付けると
- 「貴様の指図は、受けん 俺は、欲しいモノは、必ず手に入れる」
- そんな瀬人の言葉に
- 「血の臭いをさせているお前さんでは、ユキを幸せには出来ない」
- カノンは、悲しみの眼で訴えるが瀬人は
- 「幸せに出来るかどうか貴様がどうこう言う問題では無い!」
- 瀬人は、怒りを露わにしながら長屋の方に足を進めると
- 「ユキ!!ユキ!!」
- 大声でユキを呼び
- その声にユキは慌てて出てくると瀬人を自分の家に入れて
- 「瀬人どうしたんだ大声なんか出して・・・オレ恥ずかしいぜ」
- 頬を染め見上げるユキ
- そんなユキを瀬人は優しく抱き締めながら
- 「ユキ・・・俺の妻になれ 一生俺の傍に居ろ」
-
はぁ〜この回で告白出来るのかどうか自分で
気になっていたんですが何とか無理矢理告白させました。
本当は、山小屋で告白する予定だったんですが・・・