- --カイバ帝国--
- 「皇帝陛下に御報告が御座います。」
- 甲冑に身を包んだ近衛がカイバ帝国皇帝 剛三郎の前に膝ま就くと
- 「申してみよ」
- 「はっ今しがた忍衆頭 羅刹殿が帰城してまいりました。」
- 「ほ〜羅刹が・・・では、ここに通せ」
- 「はっ」
- 近衛は、立ち上がり軽く会釈をすると踵を返し基来た通路を歩き出した。
- 暫くすると顔の上半分をマスクで隠した男が剛三郎の前に現れ
- 「皇帝陛下 遅くなりました。」
- 羅刹は、剛三郎の前で軽く会釈をすると
- 「おお・・・羅刹か そなた今迄何処に居ったのだ?」
- 「はっ手傷を負いまして 傷が癒えるまで姿を隠しておりました。」
- 「ほう手傷を・・・貴様に手傷を負わせるとはシャイン・キングダム先代の忍頭は余程優秀だったよだな
- しかしそのシャイン・キングダムに数日前に新たな忍頭が誕生したそうだ
- それも今回の忍頭は、先代にまして優秀な人材だそうだ」
- 「更に優秀とは・・・対峙のしがいがある」
- 剛三郎の傍に控えめにしていた少女が
- 「お父様折角 羅刹様がお戻りになられましたのですから御祝いの宴でも開かれては如何でしょう?」
- 「そうだなキサラの言う様に羅刹の帰城祝いと言う事で宴でも催そうか」
- 「嬉しいですわお父様」
- 満面の笑顔で剛三郎に礼を言うキサラ・・・
- 羅刹は、マスクの下この親子を冷ややかに見やっていた。
- 強欲な剛三郎 世間知らずなキサラ
- もっとも自分の毛嫌いするタイプ・・・
- 「羅刹よ 準備が整い次第呼びに行かせるからもう下がっていいぞ」
- 剛三郎の言葉に羅刹は、会釈をしその場を去った。
-
- 忍頭として自分個人に宛がわられた部屋に戻ると窓辺に近寄りそらに浮かぶ月を眺めていると
- 「羅刹様少し宜しいでしょうか?」
- 部屋の前からかけられる控えめな声
- その声の主は、剛三郎の愛娘キサラのもの
- 邪険に扱えない相手ゆえに
- 「どうぞ」
- キサラは、部屋に入るとそのまま羅刹の元に進み
- その横に立つと
- 「羅刹様御怪我の方は、もうよろしいのでしょうか?」
- そっと羅刹の腕に自分の腕を絡め寄り沿った。
- 「キサラ様御心配をお掛けしてスミマセン怪我の方は完治いたしました」
- 今自分の腕に寄り添っているのがあの村娘ならどれ程良かったか・・・
- 羅刹は、想いを“瀬人”として出逢った『ユキ』へと馳せていた。
- 又、逢いたい・・・抱き締めたい・・・
- あの時ユキは、
- 「瀬人 済まないオレはお前の事好きだけど一緒に行けない
- オレにはオレのお前にはお前の相応しい相手が居ると思うんだ
- 今感情のまま一緒に居たって幸せになれないと思うんだ・・・
- だからオレは、お前と一緒に行けない許してくれ」
- 俺の事を『嫌い』だとは言わなかった。
- むしろ『好き』と言ってくれた。
- もし長い時間を一緒に過ごしていたらユキは、俺の事を一生の伴侶として見なしてくれたのだろうか
- 時間が許す限りあの村に出向こう
- 時間が許す限りユキの傍に居よう
- そうする事によってユキが自分の伴侶として自分の傍に居る事を望む様に
- キサラは、傍に居る自分を見てくれない羅刹を見上げながら寂しさを覚えていた。
- そんな羅刹の気を引こうとキサラは、羅刹の部屋を見回すとベッドに無造作に脱ぎ捨てられた着物が・・・
- その着物を畳もうと手にしながら
- 「羅刹様この御召し物は、クローゼットに直しておいたら宜しいのでしょうか?
- それにしても変わった縫い方ですわね 御裁縫に慣れていらっしゃらない方が縫われたのですか?」
- ユキが自分の為に縫ってくれた着物・・・
- それを自分以外の者が触れるなぞ許せなかったのか羅刹は、その着物をキサラから奪うと
- 「キサラ様が御好意で片付けて下さろうして下さったのは嬉しいのですが
- 私の持ち物を勝手に触らないで下さい。」
- そう言うと自分の綺麗に畳みクローゼットに直した。
- キサラは、複雑な表情で
-
- 羅刹様には、好意を寄せてらっしゃる女性が居られるのでわ?
- もしかしてあの着物は、その方から頂いたモノでわ・・・
-
- 羅刹の行動を見ていた。
剛三郎とキサラは、親子と言う設定です。
キサラは、大人しそうでありながら大胆な行動を・・・
(腕組をするあたりが・・・)