- 急に声を掛けられてユキの身体がビクついた。
- 持っていた桜の簪が手から滑り落ち棚の上にカタンと音を立てて落ちた。
- 聞き慣れた声・・・
- でもまさか?って思いがユキの胸に・・・
- なかなか振り向かないユキに瀬人は、痺れを切らせたのか小さな身体を背後から抱き締めると
- 遠巻きでユキを見ていた男達から
- 「くそ〜!!男が居たのかよ〜」
- 「あんなに可愛いいんだから居ても仕方がないか・・・」
- 羨望を嫉妬の声がアチラコチラから上がる
- また瀬人を見ていた女達からも黄色い声や悲鳴めいた声が上がった。
-
- ドキドキ・・・
- 煩くなる心臓
- ユキは、耳を塞ぎたいと思いながらも瀬人に自分の鼓動を感じ取られないか心配になった。
- 「ユキ・・・」
- 耳元で囁かれるように名前を呼ばれるとユキの顔が赤みを増し
- 「せ・・・瀬人・・・スマナイが離れてくれないか?」
- 震えるユキの声に瀬人は「?」のまま抱き締めていると
- 「公衆面前だぜ・・・恥ずかしいぜ・・・」
- そこまで言うと瀬人は「ああ・・・」とだけ言いユキから離れた。
- そしてユキの隣に立つと
- 「これを買う気だったのか?」
- ユキが棚の上に落とした桜の簪・・・
- 瀬人は、その簪と傍にあった紅葉の簪を手にすると
- 「店主この簪2本いくらだ?」
- 「瀬人!!!」
- 驚いているユキを他所に瀬人は、簪を購入した。
- 店から出て歩いていると
- 「瀬人如何してココに?」
- 「ユキが居た村に行ってカノン老にユキがシャイン・キングダムの城下町で働いていると聞いた。
- どうしても逢いたくなって・・・
- しかし本当に出会えるなんて思いもしなかった。」
-
- 瀬人・・・オレに逢いたいからって・・・
- オレは瀬人に何も言わなかったのに・・・
-
- 「あっ・・・さっきの店で買った簪」
- そう言うと瀬人は、ユキに桜の簪を渡し紅葉の簪をユキの髪に差した。
- 「やはり貴様の髪には、紅葉の簪が良く似合う」
- 笑顔で言われる褒め言葉・・・
- ユキの胸を後ろめたいものが縛り上げる
-
- オレは、瀬人の想いに応えられないのに・・・
- 瀬人は、オレを・・・
- オレも瀬人を・・・
-
- 自分の運命をユキは、呪った。
- もし何も無ければ瀬人の元に行けたのに・・・
- 急に黙ってしまったユキに瀬人は、
- 「どうかしたのか?腹でも空いたのか?」
- 「クス・・・お腹は空いてないぜ
- もしかして瀬人の方が空いたのか?」
- そう言うと
- 「夕べから何も食べて無いからな・・・腹が空いた」
- 夕べは遊戯と戦いその後腹ごしらえもせずその足で村に行った。
- そしてユキが居ない事を知りそのまま帰って来たのだ食事を取る時間が無かった。
- 「だったらオレの家に来るか?何か作るぜ?」
- 「いいのか?」
- 「休みの時にしか使ってない家だけど・・・」
- 「何を食わせてくれるんだ?」
- 「食材は、これから買い出すんだぜ」
- 2人で食材を販売している店に行き
- アレコレと選んでいる姿は、周りから見れば若夫婦でしかなかった。
何かこの2人が食材とか買っている姿があんまり想像出来なかったんで長く書けなかった
(っていうか元々私の文は短いんですけどね)