願い(海馬)
願い(海馬)



幾千幾万の星星に願いを・・・

どうかあの人に逢えます様に・・・
あの人の願いが叶いますように・・・


「よう!(遊戯) もう短冊に願い事書いたのか?」
朝の何気ない教室・・・
只 今日が7月7日の七夕と言うだけ・・・
「ううん・・・まだ何も書いて無いよ
そう言う城之内君は?」
「あん?もち書いてきたぜ!」
「も〜あんた達まるで子供ね!
今時 短冊なんて書くなんて」
「あ〜?短冊書くのに歳なんて関係ねぇ〜だろ」
何時もの挨拶の様に始まる他愛の無い口論
「杏子は、書かないの?」
「書かないよ。
だって実力主義だもん
お願い事して叶える夢より
自分で叶える方が私には合ってると思うの」
「みんなお早う!真崎さんちょっといい?」
獏良は、挨拶をするとそのまま杏子と別の場所に
「城之内君達が何を御願いしたのか知ってる?」
「城之内の事だからどうせくだらない事でしょう?」
城之内限定で言う杏子に苦笑いをする獏良だが
「違うよ  短冊で願い事が叶わないのは、城之内君
達だって知ってるでもねもし叶えられるのならもう1人
の遊戯君に逢いたいって思ってるんだよ」
「えっ・・・」
驚く杏子に更に獏良は、
「今一度 逢ってみんなでいろんな所に行き
いろんな所で遊ぼうって思ってるんだ
でも短冊に、それ以外の事も書いてると思うよ」
真崎さんがさっき言ってた様に・・・
そう付け加えると
「私・・・城之内達がそんな事考えてたなんて知らなかっ
た・・・一言ぐらい言ってくれてもいいのに」
「誰もそんな事 話し合って無いよ・・・偶然の一致・・・」
そんな2人を他所に(遊戯)は、何時も主が来ない空席
を見ていた。

海馬君の思いが叶うといいのに・・・






コンコン・・・
「兄さま!!」
「どうしたモクバ?騒々しいぞ」
気難しい顔をしながら書類を読み
何かを書き込んでいる兄にモクバは、笑顔で
「御免〜兄さまもこれ書いてよ」
海馬の前に出された短冊と細い油性ペン
「これは?」
「今日は、短冊!
だって今日は、七夕だから・・・」
そして今日は、モクバの誕生日・・・
誕生日プレゼントは、今朝ベッド横のサイドボードの上
に置いてあった。
きっと手渡ししてる時間が取れないからなんだろう
「海馬ランドでやってる子供向け企画なんだけど・・・」
それだけ言って出て行こうとするモクバに
「モクバ 誕生日おめでとう」
予想外な兄の言葉・・・
物凄く嬉しい!!
「ありがとう兄様!!」
そう言って出て行くモクバ
バタン・・・
閉じられた扉を背にモクバは、

兄さまがあんなに優しくなったのは遊戯のお陰なんだぜ
遊戯 俺はお前に何にもお礼を言って無いぜ
一言ぐらいお礼を言わせろよ!
その為に兄さまの元に戻って来いよ!!

自然に流れ出す涙・・・
兄と同じぐらい好きな存在だから・・・

モクバが出て行った後 暫く扉を見ていたが卓上に置か
れている短冊を見やる
「くだらん・・・こんな物に願い事など他力本願でしかない」

そう言えば遊戯は、知っているのだろうか?
今日が七夕である事を・・・
年に1度 遠くに離れた恋人同士が会う日だと・・・
もしここに遊戯が来たら
遊戯を力いっぱい抱き締めて
思う存分熱を感じ
もう何処にも行かせない・・・
俺の傍に一生置いて置くのに・・・

遊戯が去って何度想い願った事だろう

遊戯 貴様は、今何をしているのか?
俺の元に戻って来い・・・

引き出しから出された一枚のパピルス・・・
パピルスにかかれたヒエログリフ
「海馬 7月7日逢いに行く」




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