- 「ユギ様 早駆けの馬が来た様ですが・・・」
- 「遊戯!カイバ帝国に闇が」
- 闇の言葉に遊戯は意味が解らなかった。
- 訝しむ遊戯にユギは
- 「カイバ帝国皇帝 剛三郎殿は昔は争い事を嫌う方だったそうだよ」
- 言うと周りに居た者達が皆複雑な表情になった。
- それは,過去の剛三郎を知る者や今の剛三郎しか知らぬ者いろいろな者
- がユギの言葉に耳を傾けた
- 「剛三郎殿は昔 大切にされていた正妃と皇子を原因不明の病で
- 亡くされているんだ。
- 残された皇女をそれは大切に育てられたんだ。
- 数年後 皇女も原因不明の病に罹ってしまわれ剛三郎殿は神にも
- 縋る想いで皇女の病が治る事を祈られたんだ・・・」
- そこまで言うと険しい表情をした遊戯が
- 「・・・その時 皇女の病を治したのが闇だと?そんな」
- 「都合のいい話しかも知れない・・でも大切な人を立て続けに亡くしていれば
- 人の心はどうなるのか君になら解ると想う・・
- ううん今ここに居る皆なら解ってもらえると想う」
- そう遊戯は、姉である舞を殺されている
-
- 大切な者の死は、辛い
-
- 遊戯も舞の死を知った時どれ程 姉の復活を神に祈った事か
- 舞が生き返るのなら神以外にも縋ったかもしれない
- しかしそんな事をしても舞は、喜ばないと思った。
- そんな時バルコニーに一体のモンスターが姿を現した。
- 正確にはそのモンスターの後を三体のモンスターが着いて来ていたのだが
- 遊戯はそのモンスターに近寄ると
- 「ハーピィ・レディどうしてここに?一体誰がお前達を召喚したんだ?」
ハーピィ・レディは自分に話し掛けて来る人物が何者なのか見定める様な
- 眼差しを遊戯に向けていたが思い当たる人物を思い出したのか
- 「私達を召喚出来る人物はこの世に只一人 貴女が良く知る者」
- 「しかし彼女は既にこの世には!」
- ハーピィズペット竜の背にしがみついている少年を見つけ
- 「この少年は?」
- 「私達が護っていた人物。名はモクバ」
- 「カイバ帝国忍頭 羅刹の囚われの弟」
- もう1人のハーピィが答える
- 「羅刹に弟が居たのか!」
- 遊戯は驚きと共に少年に近く
- そう言えばあの時 無気味な声が羅刹に『大切な者』がどうのこうのと言っていたな
- 「何時までそいつにしがみついてる気だ?」
- モクバは怯えた表情のまま自分に話し掛けて来た相手を見ながら
- 「貴女は?味方なの?」
- 遊戯は震えるモクバの肩に手を乗せながら
- 「オレが味方になるのか敵になるのかお前次第だ」
- 冷酷に言うと
- 「遊戯!そんな言い方・・・」
- ユギは非難の言葉を言いかけた
- 「何故 お前は人質にされたのだ?」
- 「兄さまが伝説のドラゴン ブルー・アイズ・ホワイト・ドラゴンのマスターだから・・・
- 兄さまを操る為に・・・」
- 「ブルー・アイズ・ホワイト・ドラゴンはこの世に何体居る?」
- 遊戯の質問に一同が驚いた。
- 何故ならブルー・アイズ・ホワイト・ドラゴンは,この世に三体しか確認されていないからだ
- しかしモクバは
- 「正式に確認されているのは三体なんだけど 本当は四体居て四体目はブルーアイと
- 呼ばれる蒼い石の中で今尚 眠っているんだ」
- そこまで聞いて遊戯が何やら考えると溜息を吐きさらに何かを諦めた様な表情で
- 「いくら考えてもあの人の考えてる事は、解らないしきっとモクバの為にモンスターを召喚した
- あの人なら迷う事無く助けに行くと想う・・・
- マハード!オレはカイバ帝国に行って来る その間オレの代わりに国を頼む」
- そう言う遊戯の顔は、何時もの忍頭の表情に戻っていた。