ピ〜ンポ〜ン
鳴らされる呼び鈴にユウギは訝む表情で扉を見た。
このマンションはセキュリティ上オートロックが採用されている
もし自分に用がある者が来たとしたら一階の呼び出しパネル
から用件のある部屋番を押しその部屋の人にロック解除し
てもらうかここの住民がロック解除して内に入った時 一緒に
入るかしないとユウギの部屋まで来る事が出来ない
ユウギは室内に取り付けられているインターフォンの受信機で
相手を確認する
受信機には,小型の液晶テレビが付いており外で誰がインター
フォンを押したのか一目瞭然なのだ。
『隣の△△です。田舎から送って来た。
お菓子のお裾分けに来たのですが・・・』
確かに映し出されているのは隣の住民・・・
しかし何か様子がおかしい
何かに脅かされているような気がする
それでも液晶テレビから見える視界にも限界が有り隣人が何
に脅かされているのか解らないしもしかしたら自分の思い過ご
しかもしれない
そう思い扉の鍵を開けてしまう
いつもなら掛けておくドアチェーンをかけるのを忘れて
「はい?」
「あっあのー」
隣人の青ざめた表情
ガシッ!!
急に伸びてきた太い腕が扉を掴む
ユウギは咄嗟に閉めようするが腕力の差で閉められない
「久しぶりだな?ユウギ」
「お前は!!!」
ユウギは、相手の顔を見るや否や
この男は、危険だ!
入れてはイケない
この男から逃げないと
そう思いながらも外に居る筈の隣人の姿を見るが
時既に遅し・・・隣人は、逃げた後だった。
それでも、もしかしたら警察に電話をしてくれているのかも・・・
と淡い期待をするが厄介な事にこれ以上巻き込まれたくない
隣人は、助けるどころか警察に電話をする気なんて無い
「何故お前がここを知っている!」
「先週の土曜日 テメェを某高級レストランで見かけたのでね」
嫌な笑いを浮かべる男にユウギは、寒気を感じた。
もしかしてあの後 着けられたのか??
この男は、何故オレを着けて来たのだ?
むしろ何故今頃になってオレの前に姿を現した??
考え込むユウギ・・・
男は、ユウギの腕を掴もうとするがその動きに気が付き
紙一重でユウギは、それをかわし室内へ・・・
何とか鍵のある部屋へ逃げ込もうとしたその時ユウギと男の
コンパスの違いで男に捕まってしまった。
「やぁ!!放せ!!キース!!」
必死で暴れるユウギだがキースは、ポッケトから取り出したスプ
レーをユウギに吹きかける
「ウッ・・・な・・・に・・・」
意識が霞む
立っている事でさえ出来ない
ユウギは、前のめりに倒れるユウギ
近くにあった棚に腕をぶつける
棚の上に飾られていたガラスで出来たイルカが床に落ち砕けた
この世界に復活した後・・・
今の躰では、初めて逢った海馬とした初デート
その行った先でユウギが興味を示し海馬が買ってくれたガラスの
イルカ
今のユウギの心の様に砕けてしまった。
床にぶつかる前にキースの腕に抱きとめられる
「テメェは、大事な商品なんだ
そうそう傷がついちゃ困るんだよ」
オレが商品??
誰かオレを買うのか??
意識が薄れ行く中ユウギは、キースが言った言葉を頭の中で
反芻していた。
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