- 暫くして城の敷地内に潜入出来た遊戯達は、当初の予定通り三方に別れた。
- 《全てが終わり生きて居たらハーピィズ・ペット竜の所で落ち合う》事を約束して・・・
- 果たされるかどうか解らない約束・・・
- 遊戯は、ハーピィ・レディの案内の下
- 皇帝剛三郎が居るであろう場所を目指した。
- 出来る事ならあの2人より先に剛三郎のもとに行きたかった。
-
- 荒れ果てた城の庭から城内に入ると何やら焦げ臭い臭いに混じって錆びた鉄の様な
- 臭いが辺りからしてくる・・・
- その臭いの方に駆け寄るとまるで地獄絵図を見ているかのような光景に出くわした。
- 横たわる死体に群がるモンスター達・・・
- その口は、赤く滴る液体が
- 遊戯は、足が竦む思いがした。
- しかし今 自分が居るのは紛れも無く戦場
- 人同士ならそのまま放置されていたであろう死体達だが
- 人とモンスターが入り乱れての戦場なのだ
- 死体を貪るモンスターが居てもおかしくは、無いのだ。
- 吐きそうになる思いを堪えて遊戯は、先に進んだ。
-
- 城内に潜入する少し前
- 躰の大きいブルーアイズを連れて行動するのには目立ちすぎるので呪符を使い
- ブルーアイズを小さくした。
- その際 攻撃力がどうなるのか懸念されたがそんな事をいちいち気にしていられないし
- 試している時間も無い
- だがそれが裏目に出た様で今目の前に居るモンスターをどう退治すればいいのか・・・
- 目の前に居るのは『千年原人』確実にハーピィ・レディで太刀打ち出来る相手では、無い
- 自分が勝てる相手では、無い事は百も承知なのにハーピィ・レディは、遊戯を庇うべく前に立ち
- 千年原人との戦闘に備えた。
- 勝てないのは、解っている
- しかしハーピィ・レディは、これ以上大切な人を失いたく無いという気持ちが彼女を戦わせようと
- していた。
- 大切な人・・・舞を護れなかった。
- 自分達がもし舞を助けていたのならモクバが殺されていた。
- むしろ自分達は、モクバがどうなろうと構わなかった。
- でも舞の最後の頼みが「モクバを死守する事」だったのだ。
- その最後の頼みを無碍に出来なかった。
- それもモクバが居たからの事
- モクバの居ない今 自分が護るべき相手は、舞の妹である遊戯だけ
- 彼女だけは、護りたい・・・
- それは、遊戯とて同じ事
- 自分の姉がもっとも信頼しているハーピィ・レディを失いたく無い
- だが今は、そんな事も言えず対策を早急に考えていると
- 肩に乗っているブルー・アイズが口を大きく開き
- 口腔内に何やらエネルギーを溜め込み出した。
-
- まさか!このブルー・アイズは、戦う気でいるのか?
-
- 自分と何の繋がりも無いモンスターなのに・・・
- しかし溜められて行くエネルギーの量は本気で
- 遊戯は、その溜まり具合を見ると
- 「ハーピィ・レディ!!その場から引け!!!」
- その声を聞きハーピィ・レディは、遊戯の傍に後退
- それと同時に放たれたエネルギーは、千年原人をいとも簡単に跡形無く焼き払った。
- 小さくなったとは、言えその攻撃力は何の影響も受けておらず
- 本来のサイズでの攻撃力と全く同じだった。
-
- 何故かホッとしてしまう
-
- それは、別にハーピィ・レディが頼り無いとかでは無い
- むしろ彼女を失わなくてすんだ事に対する思いなのかもしれない
- 肩に乗っているこのモンスターは、何故自分達を護ったのだろうか?
- 自分がこのモンスターを小さくする際 何故逃げる事をしなかった?
- 城に着いた時点で主の下に戻れたであろうに何故?
- まさか自分が主の下に連れて行けと言ったからなのか?
- 理由は、判らないがこのモンスターは自分達に協力してくれるみたいだ
- 更に歩を進めると荒い息遣いと逃げ惑う足音・・・
- 何かに追われている事は、間違いない
- 生存者が居るのなら
- その者を護らなくてわ!
- 足音がする方に駆け寄ると忍装束に身を固めた男と女官と思しき女が2人
- 背後から襲い来る吸血蛆・・・
- そんなモンスターに襲われては一溜まりも無い
- 「ハーピィ・レディ!サイバー・ライトニング・ウィップ!」
- 遊戯は、幻術を使いハーピィ・レディに武器を与えた。
- その武器で吸血蛆を撃破
- 遊戯は、逃げ惑っていた人物達に
- 「城から早く出られよ。ハーピィ・レディこの人達をハーピィズ・ペット竜の所まで案内してやってくれ」
- 不安げな顔をするハーピィ・レディに
- 「彼等をハーピィズ・ペット竜の所まで案内したら直ぐ戻って来てくれ」
- 微かな笑み・・・
- それを見てハーピィ・レディは、頷くしかなかった。
- 「あっ貴方達は、何故我等を助ける?
- その出で立ちからにして我等と敵対して居る国の者であろう?」
- 怯える女達を背に庇いながら男が尋ねてくると
- 「人が人を助けるのに敵味方なんて関係無いだろ?
- オレは、お前達を助けると決めたから助けに来たのだ
- それ以外に何か理由が欲しいのか?」
-
- 助けると決めたから助ける・・・遊戯の発言に男は、戸惑った。
- この混乱した状態の中 もし敵に攻め入れられたら一溜まりも無くこの国は、落ちるだろう
- それ以前にこんな異様な状況では、攻め入る気も削げるだろう
- なのにこのくノ一は、攻める気が無いとでも言うかのようだ
- なかなか動こうともしない男に
- 「さっさと行け!オレは今尚生きているであろう人々を助けに行きたいのだ貴様等だけに構っている
- 暇は無い!」
- 一喝すると男達をさっさと追い出した。
- ハーピィ・レディを護衛に着けて・・・
- 心配そうな表情したハーピィ・レディ・・・
- 彼等が見えなくなるまで見守っていたが遊戯は、踵を返し先に進んだ。
- 肩には、先を見据えるブルー・アイズを乗せて
- 「お前を早くお前の主の下に連れて行かないとな」
- 周りに気を配りながら更に進んだ。