- 遊戯に至っても他の二人と同様に気持ちが辟易していた。
- そんな思いを断ち切るかの様に周りを見渡すと先程から感じていた
- 違和感の糸を手繰り寄せた。
- そう先程から感じる違和感・・・
- それはあまりにも流血が多い事だ
- カイバ帝国程の国なら城内で働く者も多いだろうがそれでも
- 惨劇のさい此処まで血が流れる事は無い
- だったらどれだけの人が居たと言うのか?
- それにモンスターが喰らっていた人物達は自分とそれほど歳が変わらないような気がした。
- 服装は、どんなのだった?
- オレに歳が近いと言えそれが一概に城の中で働く者達と決め付けていいのだろうか?
- もしかしたら・・・・!!!
- 遊戯は、起こりうる可能性を考えて歩を進めた。
- そしてある事に考えが行きつくと
- 片手を目の前の高さに差し出し小さな光を灯し
- 「ブラック・マジシャン・ガール!!」
- と呼ぶと小さな光の中から年端も行かない少女が姿を現した。
- 少女は、辺りの惨劇に驚きつつも遊戯の方を見ると
- 「マスターこれって・・・」
- 「ガールいきなりこんな場所で呼び出してすまないが急いでアイシスの所に伝令に行って欲しい」
- 「伝令ですか?」
- ブラック・マジシャン・ガールは小首を傾げながら自分の言葉を暫く反芻して
- 「は〜い!!何なりと!!」
- 自分が頼られている事に気付き大喜びするガール
- こんなガールを見て何だか肩の力が抜けるような気がした。
- 「アイシスに『市民を安全な場所に誘導してくれ』と言ってくれ」
- 「安全な場所にですか?」
- 「ああ・・・この城内には、城で働く者以外に一般市民が紛れている
- きっと町とかでも異変が起きているのだろう
- 市民を安全な場所に誘導しないと被害者が増えるだけだ」
- そう服装を思い出してみた。
- 城内で働く者は、大概服装が統一される
- しかしここに来るまでに見た被害者の中には、統一されていない服装があったのだ。
- 歳若い者ばかりが襲われている様に見えたのは間違い
- きっと年配者も一緒だったのだろうしかしここに来るまでに襲われ命からが来たものの
- 安全と思われていた城内でモンスターに襲われてしまったのかもしれない
- 「ガール頼んだぞ」
- 「はい!任せて下さい」
- そう言いブラック・マジシャン・ガールは、姿を消した。
- 早く皇帝 剛三郎の元に行きこの現状を何とかしなくてわ
- そう思い気は焦るものの如何せん初めて忍び込む城故に勝手が判らないのだ
- せめてこの城に詳しい者が味方に居れば見取り図を作ってもらうか案内をしてもらう
- 所なのだがシャイン・キングダムに居るカイバ帝国の者は、負傷者が多い
- ましてや皇帝を殺すかもしれない者に協力してくれるとは、到底思えない
- 仕方が無いと諦めながらも更に歩を進める
- 肩に乗っている小さなブルー・アイズ・ホワイト・ドラゴンは、遊戯の方を見る
- 何て澄んだ瞳をしているのだろう
- まるで疑う事を知らないかの様に・・・
- 「そうだなお前の主を先に探すか?
- もし羅刹より先に剛三郎に会ったらそっちを優先させてもらうぞ」
- そう言うとブルー・アイズ・の首が頷くかの様に縦に揺れた。
- 暫く歩くとブルー・アイズが何かの気配を察知したのか首を前方に伸ばす様な仕草をした。
- その動きに促されるかの如く遊戯は、急ぎ足で歩いた。
- 走りたいのは、やまやまだが走れば足元の血に掬われそうになる危険性があった。
- 一定の距離まで来ると微かに感じる気配・・・
- それは、自分が良く知る者の気配だ。
- 自分の感覚を研ぎ澄ましその気配を追いかけた。
- そして目にしたのは、結界・・・
- 大きさからにしてこの結界には数人居る
- 中に入りたいが拒絶される可能性が高い
- もとより結界自体中から出さない様に張るのと外からの進入を拒み中のモノを護るのとが在る
- この結界は、外からの進入を拒むモノ
- 結界の外に居る自分は、拒まれる
- それでも遊戯は、中の様子が知りたい
- もし怪我人が居るのなら助け出したい
- そう思い結界に触れると結界は、遊戯を拒む事なく受け入れた。
- 驚きながらも中に入ると中に居た者達も一様に驚きの表情を作っていた。
- 「貴様は、何奴!!何故この結界内に入れた」
- 小刀を手にし遊戯を睨む者達を尻目に遊戯は、ある一点を見つめていた。
- 「羅刹・・・」
- 意識が数人の部下に護られる格好で居る羅刹・・・
- 自分がここに居るのに何も言ってこないと言う事は、意識が無いのか?
- 遊戯が羅刹の傍に行こうとするが小刀を持った者達が
- 「羅刹様の元には、行かせない・・・・!!」
- 遊戯の肩に乗る小さい形をしているが見覚えのある生き物・・・
- ブルー・アイズの存在に驚き小刀を隠した。
- 「羅刹の容態は?」
- 「王宮の広間にて発生した瘴気を吸い込みながらも我等とこの者達を護るべく結界を張り
- そのまま意識不明に・・・」
- 何故 自分は、目の前に居る紅い仮面を着けた者にこの様な事を言っているのか
- 男は、疑問に思った。
- しかし遊戯が尋ねると答えてしまいたい衝動に駆られる
- 「お前達は、羅刹とその者達を援護し城の外に出ろ
- このブルー・アイズが安全な場所まで案内してくれる」
- 「この城の外に安全な場所が在るとは思えない」
- 確かにそうだろうしかし
- 「城の外には、オレの仲間が居る
- 今は、敵味方関係無く負傷者を護らせている
- このままここでモンスターの餌食となり死ぬより一か八かオレの言葉を信じてみたらどうだ?」
- 「しかし・・・」
- 「この人数では、ブルー・アイズ一体だけでは荷が重かろうお前達がオレの仲間の元に着くまで
- 結界で護ってやる」
- そう言うと遊戯は、羅刹の結界の外側に自分の結界を張った。
- そして複雑に組まれた羅刹の結界を解くために羅刹の結界に手を翳し
- 呪文の構文を解読しだした。
- 暫くして構文を解き終えた遊戯
- そんな遊戯を肩越しから不安そうな眼差しで見つめるブルー・アイズ
- 「お前の主と共に外に行け
- お前にかけた呪符による呪は、外に出れば解けるようにしてやる」
- 微かな笑顔にブルー・アイズは小首を傾げると徐に口を大きく開き遊戯の喉元に噛みついた。