迷惑メール -Vol.2- |
玄関先には、執事とメイド頭がモクバと一緒に 出迎えてくれているが遊戯の姿が見当たらない怪訝 そうな表情でいると 「兄さま 実は・・・」 帰宅した兄に遊戯の事を隠し通すなんて無理な事 昼間の事だってあるのだ遊戯に逢いたくて仕方ない 状態 「なっ!遊戯が?」 事のあらましを聞き終えた海馬は怒りの表情に変わり 「磯野!」 「兄さま 磯野と河豚田にはメール送信者に対しそれ相 応の報復をするように言ってあるから・・・」 それを聞くと海馬は遊戯を求め遊戯が居る部屋へ モクバが言う場所には、遊戯の姿が無い 室内を見渡すと部屋の角っこに背をこちら側に向けて 座っていた。 遊戯が居た安堵感と遊戯にメールの内容は自分と無 関係だと知らせ安心させようと言うに海馬の心は支配 される しかしどんな理由であれ自分の事で落ち込んでくれて いる遊戯の姿を見ているとうれしいと思ってしまう 「何で遊戯は、あんな端っこに?お前等 遊戯に何 かしたのか?」 モクバは自分の背後に居るメイドに聞 くと 「申し訳ありません 遊戯さまが御風邪を召されては大変と思いブランケット をおかけしようと近付きましたところ座った状態のまま 横走りで逃げられまして・・・ そのまま室内を一周しました」 あの状態で室内一周って・・・ 摩擦でお尻が痛いだろうなぁ 海馬はモクバから《側面から触ろうとすると横走りする》 と聞かされていたので背後から抱き締め様と近付き手 を差し出すと バチィ・・・! 小気味よい音が聞こえた。 モクバとメイドは何事かと思い海馬達の方を見やると 遊戯が海馬の手を叩き落としていたのだ それも何回 手を差し出しても叩き落としている まるで幼児の喧嘩 様にしか見えない しかも遊戯は海馬の方を見ること無く 自分の方見ない 話しもしてくれない そんな遊戯に対し海馬は次第にムキニになりだし意地 でも遊戯に触れようとする その度に叩き落とされる手 端から見れば遊戯の手首を捕まえ一纏めにしてから 抱き締めた方が抵抗が少なくなると思えるのだが・・・ そう思うものの冷静さを欠いた状態の海馬には、そんな 事を思い付きもしないだろう ガッ・・・ン (あちゃー痛そう〜) モクバとメイドは、己の顔を隠しながら指の間から見詰る 遊戯の腰を抱き締め様として見事顔面に肘鉄を喰らう 兄の姿 (兄さま〜遊戯の抵抗を防ぐ前にそんな事したら危ないよ 〜) (瀬人さま 力任せで突き進まれましても遊戯さまには 逆効果なのでは・・・) 「お前達 部屋を出よう」 これ以上 主の威厳を損なわないようにこれ以上の痴態 を使用人達に曝すワケにもいかないので自分諸とも室外 に出て今見たことを口外しない様に口止めをした。 兄さま早く遊戯と仲直りしてね 「遊戯!」 思わず怒鳴ってしまう しまった・・・怒鳴る行為は、遊戯にとって更なる抵抗を 呼び出すだけでしかないのに・・・ 何時もの癖の様に怒鳴ってしまう 一瞬 ビックとする遊戯の身体・・・ 海馬はその一瞬を見逃さず強張って固まった小さな 身体を抱き締める 「・・・やぁ・・・離せ・・・」 聞き取り難い程の小声 「遊戯・・・?」 「嫌だ!!!!!!!!!!!!放せ!!!!!」 身を捩り海馬の腕から抜け出そうとする遊戯だったが 海馬との腕力の違い故に海馬が抱き締める力を強める と全く身動きが出来なくなる 海馬とて遊戯に抵抗されるとむきになり抱き締める腕に 力を入れてしまう 出来る事なら優しく抱き締めたいのに・・・ この暖かい感触を感じて居たいだけなのに何故抵抗する? 「遊戯・・・ただいま・・・」 耳元に囁かれる声に身体中の力が抜けるのが解る この声・・・海馬???? 背に感じる熱い体温・・・ 自分を抱き締めている力強い腕・・・ 安心する・・・ この腕の中にず〜と居られたらどんなに幸せだろうか しかし遊戯の脳裏には、会員制の所からのメールの文面 が占めている この温かい腕の中に何人もの女性を抱いたのか・・・ そう思うとやるせない気持ちになる 遊戯は、何とか身を捩り海馬の方に向き直ると 「お前 何時帰ってきたんだ? それに痛いし暑っ苦しいから放せ・・・」 なっ・・・何時帰って来だと・・・!!!!! 「貴様〜散々貴様に触れようとした俺の手を叩き落し あまつさえこの俺の顔面に肘鉄を喰らわしただろうがぁ〜!」 海馬から放たれる怒りのオーラに身を竦ませるものの 遊戯にとって身に覚えの無い事・・・ そんな事で怒られる言われなんて無い 遊戯は、紅い瞳で海馬を睨みながら 「オレは、そんな事した覚えなんて無いぜ」 覚えが無い・・・?! 「貴様 くだらん事で悩み この俺を無視するなんて事が許されると思っているのか?」 貴様の心に俺以外のモノが占拠するなんて許せない 遊戯気様の心の中を占拠していいのは、この俺だけなんだ くだらない・・・海馬にとってくだらない事でも オレにとっては、一生を左右するかもしれない事なのに・・・ この男にとってオレって一体なんなんだ? 女と出来ない時の為に用意された予備でしかないのか? 海馬が恋愛とかに対してそんな器用な男では無い事ぐらい 解っているのに・・・ どうしていいのか解らない ただ海馬の腕の中に居るのが今は、辛い・・・ 「海馬・・・放してくれ・・・苦しいんだ・・・」 心が・・・?身体が・・・?どっちが苦しいかなんて解らない ただ放して欲しかった。 「嫌だと言ったら・・・」 「お前が嫌でもオレは、放して欲しいぜ」 他の女を抱き締めたかもしれない腕 「・・・メール・・・返事出さなければイケない相手が居るんだろ? オレなんかが居たら返事書けないだろ? 大事な話しとかあるだろうし・・・」 「フン・・・返事なんぞ出す必要は、無い それより寧ろ俺にとって貴様と一緒に居る事の方が必要なんだ」 俺の心を熱くさせる事も覚ます事も貴様でしか出来ないのだから そう思いながら思わず遊戯を押し倒してしまう 「やぁ〜!!!放せ!!重い!! オレはお前の性欲を処理する為に存在しているんじゃない!!」 「誰が貴様を性欲を処理する為だけに傍に置いて置くか!! そんな相手なら一緒に住むわけ無かろうが!汚らわしい! 性欲処理だけなら外でヤッテ金さえ払えば済むんだからなぁ」 大きく見開かれた紅い瞳・・・ この綺麗な瞳にずーと映っていたい だがその瞳は、次第に潤み出し洪水へ・・・ 「・・・そんな・・・相手・・・居たのか・・・ 外で関係を持った相手が居るのか?」 はぁ〜? 「そんな相手なんて居る訳無いだろう?」 「放せ!!オレ以外の相手とヤッタ腕でオレを掴むな!!」 段々と変な方向に考えて勝手に落ち込んで行く遊戯・・・ 今までの海馬の人生を見ていれば解る事なのだが彼自身 遊戯に出会うまで色恋事に興味なくカードと仕事だけで生き て来たのだ しかも公衆面前で大々的に遊戯にプロポーズまでしているのだ そんな男が他の女に走るとは、思えない 自分のトンでもない勘違いに拘束される遊戯 今の状態で何を言っても聞きいれて貰えないと感じた海馬は 遊戯を押さえていた手を放す 遊戯は、身体を起こすと部屋を出て行った。 遊戯に嫉妬してもらえるのは、嬉しいのだが・・・勘違いされた ままと言うのは、辛い 遊戯があそこまで勘違いをしたメール・・・ モクバから内容を聞いているとは、言え気にならないワケでは 無い 一目見て置くか・・・ そう思いパソコンの前に行くとパソコンの画面は真っ黒なのに 電源が入ったまま 海馬は、マウスを動かし画面を明るくすると直ぐに画面に写し 出されるメール 『妊娠希望』何と言う件名なのだろうか? 程度の低さが窺い知れる 文面だって頭のいいモノとは、言えない 本気で男を誘うのならもっと魅力のある知的な文を書いた方が いいと思える 海馬は、そのメールを削除しパソコンの電源を落とす その直後に ドン・・・ガタガタ・・・ガシャン・・・ 聞こえてくる嫌〜な音 何事かと思い出てみるとモクバやメイド達も慌てて走って行る 「あっ兄さま!」 「何事だ?」 「遊戯の部屋の方から聞こえて来たんだよ」 |
ドンドン壊れていく闇遊さま・・・
最後の方は、私の本心かも・・・(汗)
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