約束-2-

約束−2−

-翌週土曜日夜-

海馬からメールが来た。

明日は、休みらしく屋敷に居るから来いって書かれてあった。

久しぶりに逢える期待感で胸がドキドキする

ただ心配なのは、明日朝になっていきなりのドタキャンの事だ

もしかしたら・・・って思ってしまうのだ

そんな遊戯の気持ちを察したのか<遊戯>が

「なんだか嬉しそうだね?海馬君からのメール?

もしかしてデートのお誘いとか?」

顔を朱に染めうつむきながらコクン・・・と肯く遊戯

思わず

 

照れてる〜可愛いvvv

 

等と<遊戯>に思われてしまう始末

まぁ今の所問題なのは、海馬君のドタキャンなんだけどね

 

 

 

 

-翌日日曜日朝-

海馬からメールが来た。

もしドタキャンだったらと思うとメールを開けられない

 

オレらしくも無いぜ

こんな事でビビルなんて

今迄だって何回もドタキャンされたんだ今更・・・

 

それでもメール開ける手が震える

震える手でメールを開けると

『迎えの車をやった』

との事・・・

ドタキャンのメールじゃなくて一安心

安心した表情の遊戯を見て<遊戯>も安心する

 

暫くして武藤家の前に横付けされた黒塗りのロールスルイス

遊戯は、急いで車に乗りこむと<遊戯>から

「今夜は、泊まって来てもいいよ」

との言葉

「おっおう・・・わかったぜ」

何だか照れた表情の遊戯がやっぱり可愛く見えてしまう

 

彼にこんな表情させる海馬君にヤキモチ妬いてしまいそうだよ

「それじゃいってらっしゃい〜楽しんでくるんだよ〜」

相棒に見送られながら遊戯の心は、既に海馬の下へ

久しぶりに逢うのだから何を話そうか何のゲームをしようか・・・

いろいろと考えるもののなかなか思いつかない

仕方が無いので海馬に逢ったら決め様と思う事にした。

 

 

数分後-海馬邸-

海馬の私室に通された遊戯だったが海馬自身書斎にて仕事中

しかも遊戯が来ている事に気が着いているのにも関わらずただ一言

「すまないが未だ仕事が終わってないからゲームでもして時間を潰してくれ」

と言ってくる始末・・・一度も遊戯の方を見る事無く・・・

 

仕方が無いか・・・忙しそうだし・・・

遊戯は、海馬の邪魔にならない様に傍に在ったM&Wの雑誌を手にしページを

捲りだす

久しぶりに遊戯が海馬邸に来たのでメイド達は浮き足だっている

誰が遊戯にお茶を出すのかジャンケンをして決めているのだ

運良くジャンケンに勝ったメイドが

「遊戯様の様子ちゃんと見て来てあげる」

そう言って厨房を後に海馬の私室へ・・・

コンコン・・・

「お茶をお持ちしました」

「入れ」

「失礼します」

部屋に入ったメイドは海馬と遊戯に違和感を覚える

恋人同士なのに互いが互いを見ていない・・・

喧嘩をした様子も見受けられない・・・

メイドは、遊戯にお茶と御菓子を勧めると

「ありがとう」

と少し寂しそうな笑顔を目の当たりにする

暫くして厨房に戻って来たメイドに他のメイドが訊ねてくると

「何だか寂しそうだった。」

自分が見た限りの事を話していると

「兄さまが遊戯の方を見てないなんて・・・」

「も・・・モクバ様!」

遊戯の事が気になり他のメイド同様を見て来たメイドから話を聞こうと厨房に来

たのだ

 

兄さま・・・何を考えてるの?

久しぶりに遊戯に逢えたのに・・・

 

モクバは居ても立っても居られず兄の私室へ

兄に文句を言うために・・・

扉をノックし兄の声が聞こえた後部屋に入るとメイドが言ってった状況通り兄も

遊戯も何も会話をしていない

遊戯はモクバの姿を見て嬉しそうに

「海馬 オレ少しモクバと遊んでるぜ」

「ああ モクバ遊戯の事頼むぞ」

えっ?

兄からの予想外の言葉

何時もなら自分が遊戯を連れ出そうとすると怒るのに・・・

「ゆっ・・・遊戯?」

遊戯はモクバの背を押す様に部屋を出る

「遊戯いいのか?折角兄さまに逢えたのに・・・」

「いいんだぜ 出来るだけ海馬の邪魔になりたくないから

それに仕事が終わったら海馬がモクバの部屋までオレを迎えに来ると思うぜ」

根拠の無い自身

「そうだね」

それしか言い様が無い

だが1時間経っても2時間経っても海馬がモクバの部屋に訪れる様子が無い

業を煮やしたモクバが兄の部屋に行くと誰も居ない

執事に訊ねると

「瀬人様でしたら1時間程前にお出かけになられました」

「行き先は?」

「会社の方です。何かトラブルがあったとかで・・・」

兄の信じられない行動にめまいがして来る・・・

「仕方が無いぜ・・・」

「遊戯!」

モクバ同様海馬を探してた遊戯

寂しそうな笑顔・・・

そう言えば最近 遊戯の寂しそうな笑顔しか見てない

どれだけ我慢してるんだ?

「モクバ もう少しだけ海馬を待ってみるぜ

その間オレの相手をしてくれよ」

「いいぜ」

だが4時間経っても海馬が帰って来る様子が無い

夕方迄待ってみたが結局帰って来そうに無いので遊戯は帰宅した。

 

「ただいま」

遊戯の声に驚いて玄関まで行く<遊戯>

「海馬君は?」

予想外の早い帰宅・・・遊戯が帰って来るのっててっきり明日の夜だとばかり

思っていたのだ

「もしかして逢えなかったの?」

首を左右に振りながら

「一目だけ見た」

会話と言う会話は全く無かった。

「仕事だって・・・会社に行って・・・」

遊戯の顔が次第に青ざめて行く

そして

ガクン・・・

「もう一人の僕!!!!!」

<遊戯>の目の前で崩れ落ちる遊戯・・・

 

≪・・・カイバ・・・≫

海馬ごめん・・・オレもう・・・

「遊戯?」

微かにだが遊戯の声が聞こえた様な気がした。





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