約束−7− |
未来に戻る術が見出せない今遊戯に行く宛は、無い この時代の武藤家に行く訳にもいかず <遊戯>と親友になる前の城之内の家に行くワケにもいかず 途方にくれ出していた遊戯を瀬人は 「だったら俺の部屋を使えばいい 俺の部屋は俺一人で使うのには広過ぎる」 元々施設育ち 施設の一部屋は6畳程度なのだ それを中学生ぐらいまでなら2〜3人で使う (高校生なら1人一部屋になる可能性も在るが) しかし遊戯とてこの時代では、まだ生存している 剛三郎の性格はモクバから聞いて知っているしバーチャル世界でも1度逢っている 彼が見ず知らずの自分を置いてくれるとは思えない もし置いて貰えたとしても何かしら強要される事は必死なのだ・・・ 最悪の場合 遊戯を盾に瀬人を脅すかもしれない それだけは、避けたかった でも瀬人は 「遊戯が心配する事無い!!」 遊戯と一緒に居たいのだ 離れたくないのだ それを素直に言葉に出来ないけど態度で示す 肉親以外で自分の心に安らぎを与えてくれる唯一の存在・・・ その温もりを手放したくない 遊戯が未来に帰る日まで ううん・・・未来にも帰らないで自分の傍に居て欲しい どんな手を使ってでも遊戯を手放したくない 瀬人の心を知ってか知らないでか遊戯は、結局行く宛が無いので瀬人の部屋に 夜 遊戯がソファで毛布に包まって寝様とすると 「遊戯がベッドで寝ないのなら俺だってベッドで寝ない!!」 と瀬人に駄々を捏ねられ 「ベッドは瀬人の物なんだし瀬人が使えばいい」 と言っても「遊戯と寝る」と言い張って来る始末 流石の遊戯もこれには参り 「解った・・・解った一緒に寝るからベッドに行こう」 と言って一緒に寝る 未来の海馬は、背も在り腕力も在るのでソファで眠る遊戯を 見つけると軽々と抱き上げベッドへ連れて行く 子瀬人には、そこまでの事が出来ないので駄々を捏ねて遊戯をベッドへ連れて 瀬人の強引な所はこの時既に備わっていたんだな そして子瀬人は遊戯に抱きつきねるが海馬は遊戯を抱きしめて寝る・・・ そんな所まで一緒とは・・・苦笑せざるえない 子供時代の瀬人に逢い遊戯の心にあった寂しさは次第に消え失せる そして新たな発見に胸をときめかせる・・・ 数日経ったある日恐れていた事が起きる 剛三郎が瀬人の居ない間に瀬人の部屋を訪れて来たのだ ここ数日の瀬人の行動に違和感を感じていたのだ そしてその原因を探る為に部屋に来たのだ だが遊戯とて馬鹿じゃない 心理戦でさえ遊戯にとってはゲームの一種 相手の裏を読み相手の先手を2歩3歩と駒を進める 剛三郎がどう言う男なのか未来のモクバから聞かされているので戦略を練るのは そしてそれは見事に剛三郎を追い出すのに成功したのだ 子供の瀬人では、到底出来ないであろうやり方で・・・ しかし剛三郎とて戦略家である以上何かしら手を打ってくるだろう そうなれば遊戯一人なら何とかなるが瀬人を巻き込みかねない 否 既に巻き込んでいる これ以上 瀬人の迷惑になる様な事は、出来ない それは、未来に影響を及ぼすかもしれないから・・・ この屋敷から出ないと・・・ この時代に生きる瀬人の為に そして自分達の未来の為に・・・ 今 想い出されるのは未来に居る海馬 不遜な態度の彼・・・何故か無償に逢いたい このまま未来に戻れなかったら・・・? 海馬・・・お前は・・・お前の前から消えたオレの事を忘れ自分に合った相手を 傍に置くのか? 遊戯は、知らないのだ未来の世界で自分の身体がベッドに横たわっているのを 今の自分は精神体である事を・・・
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