約束-8-

約束−8−

「瀬人・・・スマイ・・・オレこれ以上お前に迷惑なんてかけられないぜ」

ベッドの上で遊戯は、今の自分の気持ちを告げる

「別に迷惑だなんて想ってない!!俺は遊戯に傍に居て欲しいんだ

俺と一緒に未来を歩んで欲しいと思ってる!!

俺が・・・俺自身掲げている夢が遊戯の言う通り叶うのなら俺の傍で

見ていて欲しいんだ」

自分にしがみつき素直な自分の気持ちを打ち明けて来る瀬人に

遊戯は愛おしさを感じる

瀬人の願いを叶えたいと言う思いは在る

だが・・・

「未来でお前はオレと出逢う運命なんだぜ?未来のお前の傍にオレを

置いてくれないのか?」

俯く瀬人

「未来の遊戯が今ココに居るのに・・・遊戯が言う未来に遊戯自身居る

とは、想えない・・・それならこのまま俺の傍に居て欲しいし未来に帰らな

いで欲しい・・・」

瀬人の言う通り未来の自分が今ココに居る以上未来に自分の存在は

確証されない

それでも

「オレはお前と必ず出逢う・・・オレはそう信じてるぜ・・・」

優しい言葉・・・

今 自分の気持ちは何て穏やかなんだろう・・・

瀬人を悲しませている事は解っているのに・・・

「遊戯・・・約束してくれるか?未来で俺の傍に居てくれる事を・・・

遊戯の一生を俺の傍ですごすって・・・」

瀬人からのプローポーズ・・・

何時のも遊戯ならそんな子供を見て≪何てませたガキなんだろう≫って想う

所だが今は、素直に嬉しいと感じてしまう

こんな子供に求められるなんて・・・

「!!!!」

遊戯の唇を襲う柔らかい感触

自分の目の前には瞳を閉じた瀬人の顔

暫くして自分の唇を瀬人に奪われた事に気付く

「せっ・・・瀬人!!」

顔を朱に染めながら遊戯は瀬人を見ると瀬人も顔を朱に染めながら

「やっ・・・約束・・・のキスだ・・・

遊戯にとって初めてじゃないだろうけど」

俺にとって初めてのキス

出来る事なら両想いの相手としたかった

でも両想いじゃなくても遊戯とキスがしたいと思った

「ああ解った約束する・・・」

満ち足りた気持ちになる

そんな遊戯の身体に異変が・・・

身体が微かに発光しだしたのだ

「ゆっ・・・遊戯!」

驚く瀬人だったが

「多分 未来に帰る時が来たんだ」

オレの心が満たされたからなのか?

 

不安そうな顔の瀬人に遊戯は両腕を伸ばし彼を抱きしめながら

「瀬人 お前の優しさがオレの寂しかった心を癒してくれたんだ

ありがとう・・・

オレは未来に帰りお前との約束を必ず果たすと誓うぜ」

次第に薄れていく遊戯の身体

瀬人は行かせまいと必死に抱きつくがどうする事も出来ない

「瀬人・・・ありがとう・・・」

そう言うと遊戯は瀬人から消えてしまった。

 

 

一方 未来の世界

「兄さま 少しは寝た方がいいよ

もし遊戯が目覚めたとしても兄さまが代わりに倒れたら意味ないから」

兄の身を案じる弟だったが

「大丈夫だ 俺の身体は、そんな柔では無い」

寧ろ遊戯が目覚めた時彼の真紅の瞳に最初に自分の姿を写し出して

欲しいのだ

「兄さま・・・」

このままじゃ遊戯が目覚める前に兄さまがダメになっちゃうぜ

こんな古い手は使いたくなかったけど・・・

「兄さま 神経張りつめてばかりじゃ良くないぜ

飲み物用意して来たから飲んでよ」

そう言うと持ってきた水筒の中身をグラスに移し変え海馬に渡す

「ああ・・・すまない」

弟の強引さに苦笑しつつも海馬はグラスを受け取りその液体を飲み干し空に

なったグラスをモクバに渡すが急なメマイに襲われ平行感覚が保てない

「モ・・・クバ・・・?」

「ごめんなさい・・・これも兄さまと遊戯の為なんだ」

複雑な表情のモクバ

まさか自分の弟に一杯盛られるとは・・・

意識が遠のく中 海馬は

「し・・・んぱ・・・する・・・な・・・」

ガタン・・・

そのまま遊戯が眠るベッド脇にうつ伏せになりながら寝息を立てる海馬

肝臓の強い海馬ならそう簡単に睡眠薬で眠る事は無い筈なのに

遊戯に対する精神的ショックが大きかったのか

精神的疲労が酷く肝機能が弱っている状態で睡眠薬を飲んだのだ 

効いて当然だと思う





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