世界で一つだけのモノ -2-

世界で一つだけのモノ -2-



計画遂行の為 遊戯と<遊戯>はほぼ毎日の様に海馬邸を訪れた

海馬が在宅の時は遊戯が海馬の元に行き

<遊戯>がモクバの元へ

海馬が不在の時は遊戯も<遊戯>と一緒にモクバの部屋に居た。

 

-10月20日-

「なぁ・・・遊戯頼むよ〜

この計画を成功させるのには遊戯が兄さまのバースデー

パーティに出席しないで欲しいんだ」

モクバに懇願され困り果てる遊戯

「でも海馬の事だ 無理矢理にでもオレを出席させるぜ」

「そこを何とか」

食い下がるモクバ

 

モクバが立てた計画・・・

それは海馬の一生を決める様な内容だ

まぁ・・・オレの一生もかかってるって言っても過言じゃないが

どうしたモノか・・・

パーティ嫌いの海馬の事 社交事例で営業スマイルで楽しんでる

素振りはするだろう

だが心の中では悪態の着き放題

そんな海馬だが遊戯が一緒に居ると終始機嫌がいい

遊戯としてはパーティに興味無い

寧ろどちらかと言えば嫌いな部類だ

それでも海馬と一緒に居たいと言う気持ちと

海馬に無理矢理参加させられるのとでついつい出てしまうのだが・・・

今回ばかりは、どうしたモノかと考えてしまう

自分にすがるモクバに

「解ったぜ パーティには参加しない

だけどモクバは、その分計画を成功させないとイケナイんだぜ」

「解ってる」

「もう一人の僕そんな事言って大丈夫?

あの海馬君がそう簡単に君との参加を諦めるとは思えないよ」

「まぁなんとかなるさ」

そう言うと立ち上がる遊戯に

「どうしたの?」

「今日は海馬が早く帰ってくるんだ」

今日を逃せばパーティに参加させられてしまう

「だから海馬の部屋で待つんだ」

「オレも兄さまの部屋に行ってイイかなぁ?」

「お前等兄弟なんだろ?

別に構わないと思うぜ」

遊戯は解ってないぜ

幾ら兄弟と言えど 兄さまは遊戯と一緒に居る時間はオレにも邪魔されたくないんだぜ

「じゃぁ〜僕も海馬君の部屋にいってみよう

新作のゲームとか有りそうだから・・・」

面白そうなのが有ったら僕んちの店に先行販売させてもらわないと

 

海馬の私室に入る3人・・・

テーブルの上には何故か場違いな婦人週刊誌が置いてある

その週刊誌を手に取る遊戯

<遊戯>は液晶テレビの傍に置いてある試作品のソフトを手に取りながら

ゲーム機本体に差込み起動させる

対戦型のゲームなので遊戯に相手をしてもらおうと振り向くが週刊誌に釘付け状態の遊戯に声がかけられず

モクバに相手を願い出る

「ねぇ 何でもう一人の僕は女性週刊誌なんか読んでるの?」

「クロスワードや間違い探しをやってるんだって」

「だったらクロスワードの雑誌を用意してもらえばいいのに」

「以前は、そうだったらしいぜ でも兄さまが話しかけても雑誌のクイズに

夢中になり過ぎて兄さまの事眼中に無かったらしく兄さまが怒って・・・」

「でもクイズとかしたい・・・と言うもう一人の僕の要望も無碍には出来なかったんだね」

「そう言う事・・・婦人雑誌とかのは、1〜2ページぐらいしかないからね」

2人がコソコソとそんな会話をしているとは露知らずの遊戯は、婦人雑誌のページを捲りながら何やら思案中

 

暫くして帰宅した海馬は自分の部屋に遊戯以外の者が居る事にやや不機嫌

それでもネクタイを外し遊戯の隣に陣取ると遊戯が

「芸能界って恋愛話の展開が早いんだな

この女性タレントは、以前IT関連の社長と付き合ってる話しが雑誌に載ってたのにもう俳優と熱愛だって

書かれてる

この俳優だって・・・」

何時もは芸能とかの話しなんてしない遊戯からの言葉にいささか驚く海馬

「貴様がそんな低俗な話題をして来ようとは、何を考えている」

「オレだってたまにはこんな話しだってするぜ・・・

ただ人の心って信号機の様だなぁ〜って思ったんだぜ」

「人の心を例えるなら四季で例えるモノだ」

「そう言うモンなのか?信号機の方がピッタリだと思うけど」

「貴様は何が言いたい?」

少し不機嫌は表情に変る海馬・・・

 

まさか遊戯は、この俺と別れたいと言いだすのでは有るまいな

 

心に過る不安

遊戯の事を想えば想うほど遊戯が自分から離れた時の事を考えると堪らない気持ちになる

「何時かはオレ達もこの芸能人の様になるのかなぁ〜って想っただけ」

海馬には跡を継ぐ子供が必要だ

本当は口に出したく無い想い

でも計画の為・・・あえて口に出す事にした

ズキズキ・・・と痛む胸

(遊戯 兄さまがどんなに遊戯の事を一途に想っているか・・・)

(もう一人の僕 海馬君がどんなに執念深いか忘れて無い?

君を想う余り君を追いかけて転生して来てるんだよ〜

過去の記憶は無いけど・・・!!!もしかして君は、あの計画の為に?)

遊戯がどれだけ海馬の事を想っているのか<遊戯>は知っている

それに遊戯の表情が苦痛に耐えるかの様に見える

きっと心の中は・・・

「貴様そんなにこの俺の事が信じられないのか!」

もの凄い剣幕の海馬

自分の気持ちを疑われと思ったのだ

 

思った通りのリアクション

遊戯の傍に居た<遊戯>とモクバがビクッと身体を震わせる

「貴様の顔なんぞ 二度と見たくも無い

もう二度と俺の目の前に姿を現すな!!」

「か・・・かい・・・」

遊戯に背を向け聞く耳無しと言わんばかりの態度

そんな海馬の背を見つめながら遊戯の表情が曇って行く

今にも泣きだしそうな程

(もう一人の僕・・・)

(遊戯・・・)

これで良いんだぜ・・・

この計画を成功させる為に

 

 

 

<遊戯>とモクバも遊戯の後を追う様に部屋を出て行く

「なぁ・・・何で遊戯のヤツあんな事言ったんだろう?」

「僕の憶測だけど計画の為だと思うよ

海馬君にどんな理由を言っても無理矢理もう一人の僕をパーティに出席させると思うんだ

だったら怒らせたら・・・」

「そんなぁ〜だったらオレの所為だ!!

もし兄さまと遊戯が仲直り出来なかったらどうしよ〜」

「大丈夫だよ 彼等を仲直りさせる為にもこの計画は絶対に成功させないといけないんだ」

「うん・・・解ったぜ」

自分が立てた計画故に大好きな兄と遊戯が喧嘩なんて・・・

モクバの私室に戻ってみると遊戯の姿が無かった

きっとあのまま帰宅してしまったんだろう

傷心の心を抱いたまま






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