一筋の光 -5-


セトに逢いたい・・・

一目でもいいから・・・

 

アテムには誰が侵入して来たのかが解っていたが嬉しい

気持ちの反面敵地に乗り込んで来たであろうセトの安否も気になる

もしかしたら・・・彼の性格なら一人で乗り込んで来るかもしれない

彼は、それ程馬鹿じゃない

でも感情的になりやすい所も有る

普段は冷静沈着で何事に置いても的確に判断してくる

だが一度でも感情的になれば周りの事なんて目に入らない

 

もし彼がちゃんとした判断が出来ない状態になっていたら

誰か自分の代わりに彼のストッパー役になっていて欲しい・・・

 

 

 

 

「アイシス 何故貴殿まで私と一緒に来るのだ?」

「私以外に誰が貴方の暴挙を止められましょう」

アイシスとセトが王宮内に入りアテムを探している

そしてシャダとカリムが人質となっているマナや兵士を助けに向う

マハードは別行動していた為まだ到着していない

「翼をまといし者よ 我が前に立ちはだかる不届き者に制裁を!」

アイシスの声に応じて姿を現したのはハーピィ・レディ

ハーピィは攻撃して来た敵兵に飛びかかり蹴散らす

「ディオス!我等の進路を切り開け!」

その声にディオスはハーピィの前に進み出

ハーピィは、アイシスやセトの背後に回る

敵は必ずしも前方から攻撃してくるとは言えないのだ

死角となる背後からも仕掛けてくる可能性だってあるのだ

そしてその読み通り背後から攻撃して来られた

だがそれもハーピィによって阻まれるのだが・・・

 

「くそ〜ファラオは・・・アテムは何処に・・・」

アッシリア城内の構造が解らない

このまま闇雲に走っていては無駄に体力をしょうもうするだけ

どうしたものか・・・

アテムが危惧していた通り既にセトは的確な判断が出来ないで居る

そこへ小さな低級モンスターが姿を現し

「ディオス 低級だろうと構う事無く蹴散らせ!!」

との命令を下すもののディオスが全く攻撃しない

相手が戦闘する意思が全く無いからだ

「ディオス何をしている・・・」

「お待ちなさいセト! 貴方はファラオ・アテム様のカーに攻撃するのですか」

アイシスの言葉に眼前のモンスターを見やると

それは、アテムがペットの様に可愛がっているモンスター クリボーだった

「クリボー貴方にはファラオ・アテムの居所が解りますか?」

アイシスも又このまま闇雲に探し回る事が得策では無いと判断していたのだが

城内の事はセト同様解らないでいたのだ

ましてや自分達のカーを幾ら召喚しようがそれは、バーの消費でしかない

人質として捕らえている者達に訊ねても時間の無駄でしか無い様に思える

そこへ現れたクリボー

クリボーは身体を上下に振る事で「知っている」と知らせる

「では案内をしろ!もしアテムがその場に居なかったら貴様自身どうなるか

解っているな?」

アテムを独占しているクリボーに不快感を隠そうとしないセト

そんなセトにクリボーは恐怖を感じている様だ

「クリボー 一刻も早く私達をファラオの下に案内して下さい」

アイシスの言葉にコクコクと肯きながらクリボーはディオスの前へ出る

「セト クリボーを怖がらせてどうするのです?

今の貴方は全く持って神官らしからぬ行動を取ってしまう

これではファラオを更に危険な状況に追いこむかもしれませんよ

利用出来るモノは例えファラオのカーであっても利用するモノです!」

アイシスの最後の発言にセトは、驚いてしまう

彼女は時折トンでもない事を言う

だが彼女の言いたい事はセトにだって解っている

解っているのだが一刻も早くアテムの安否を知りたいのだ

それ故に気が焦る

心の中でアテムを求めてしまうのだ

 

暫くして辿り着いた場所

そこは大広間

そして王座の傍でアテムはアッシリア王と共に居たのだ

「アテム!!!!!!」

その声に応じるかの様に

「セト!!!!」

互いに求める者の姿を確認出来て嬉しさが込み上げてくる


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