一筋の光 -6-
「シャダ様有難う御座います」
牢から出る事の出来たマナ達
「カリム様 これをファラオに・・・」
兵士が指し出して来たのはアテムより預かりし千年錘
「何故ここに?」
何時もファラオの首にかけられている千年錘
何故兵士達が持っているのだ?
不思議そうな表情をしている2人に
「ファラオより お預かりしてました。
もし自分の身に何か起きたら・・・って・・・」
千年錘は自分の意思で主を選ぶので悪用される事は
早々に無いがアテムは、(もしも・・・)の事を考えマナ達に託したのだ
そして無事に脱獄出来る者が居たら千年錘をエジプトに・・・
神官団の下に届けてくれる事を願って
「シャダ様 カリム様早くアテム様の下に行きましょう!!」
「しかしマナ お前は・・・」
「大丈夫ですよ〜 さっきの回復魔法のお陰でこの通り!
もう何とも無いんですよ」
それに千年錘がマナの魔術を回復させてくれたのだ
マナはシャダやカリムの前でガッツポーズを取りながら自分が元気である
事をアピールしたのだ
「ファラオ・アテム様を我等が祖国エジプトに!!」
「ほう〜 その出立ち そしてその金色に輝くアイテム
貴様等エジプトの神官か?しかも最高位の神官・・・
単身敵地に乗り込むなど『殺して下さい』と言わんばかりの愚考であり
愚行だと思わんのか?」
「オレの国の神官を愚弄するな!!」
自分の事を言われるならまだしも自分が大切に思っている人達の事を
言われるのが我慢できない
アッシリア王に食って掛かるアテム
今尚自分に背くアテムに苛立ちを覚える
彼の命は、自分の手の中に有るのに・・・
このファラオに自分は勝てないのか・・・
彼が自分に敗北し跪く様を見てみたいのに
彼にとって自分こそが絶対的存在になりたいのに・・・
思い出した・・・何故ここまで彼に固執するのか・・・
「ファラオ!!」
「アテム!!」
アッシリア王から伸ばされた手はアテムの細い首を締め上げる
眉根を寄せながら喘ぐアテム
本当は、こんな事をしたいワケでは無い
彼を抱きしめキスをしたいのだ
幼い頃エジプトの王宮にて出あった綺麗な紅い瞳の王子・・・
その王子の無邪気な笑顔に心奪われたのだ・・・
そして何時の頃からか自分の傍に居て欲しいと想うようになった
だが事そんな息子に父王から有る事に
「エジプトの王子は、英知に長けた立派な王子に育っているそうだ
それに引き換えお前ときたら・・・愚息としか言い様が無い」
アテム王子と比較され
次第にそれが苦痛になって行ったのだ
愛情が憎しみに代わり
本当の想いを見えなくしてしまう
アテムをお前を殺し永遠に俺の心の中で生き続けよ
否・・・いっそうの事俺も後を追うか・・・
死者の世界で永遠に俺の傍に・・・
「オレは・・・諦め・・・ない・・・」
苦しそうな表情で尚も抵抗するアテム
この細い首にもう少し力を加えれば確実に彼は、死ぬ・・・
そうすればこの気高きファラオは自分のモノに・・・
彼を想って過ごしたあの時の夢が叶うかもしれない