もう一度-4-

もう一度-4-


朝 海馬邸から帰る車中

「誕生日ゼントは何がいい?」

「それって普通女の子に聞く内容じゃないのか?」

ベンツの後部座席に座る2人

「俺は貴様に聞いているのだ」

「今の所欲しいのって無いぜ 当日までに考えておく・・・」

「決まり次第連絡しろ」

「解った」

瀬人兄貴は何故かバレンタインデーにホワイトデーにクリスマス

そして誕生日とイベントが在る事に何かしらプレゼントを用意してくれる

別に要らないって言っても用意してくる

まるで恋人関係に有るかの様に・・・

ただ何かリクエストすると嬉しそうな顔をする

兄貴に何かお返しをしようと訊ねると「貴様が一日中俺の傍に居れば

それでいい」って言うだけ

逢えば何時も一緒に居るのに何故そんな事を要望してくるのか不思議だった

まぁ兄貴は金持ちだから自分の欲しい物は自分で買うんだけど

そう言えば以前「いろんな相手とデュエルしたが やはり貴様とのデュエルは

心踊るモノがある」と言っていた事がある

確かにオレも兄貴以外の人とデュエルやっても興奮する様な事なんてない

別に楽しく無いわけじゃないのに物足りない感じがするのだ

海馬邸から戻って来た遊戯は学校に行く準備を整えながら母親が用意して

くれた朝食を食べる

今朝は海馬も同席しての朝食・・・

シェフが作った朝食の方が美味しいと思うのに海馬は時折武藤家で朝食を

取る

そう言えば食事って1人で取るより数人でも人と一緒に取る方が食べ物が

美味しく感じられ食が進むと聞いた事がある

きっと兄貴もそうなんだろう

と自己解釈する遊戯だが海馬にしてみれば遊戯が居るから一緒に食事を

取っているだけにすぎない

 

「遊戯学校まで送ってやる」

「じょ〜だんんじゃ無い こんなデカイ車で登校したら注目されてしまう

これじゃ誘拐犯に『誘拐して下さい』って言ってる様なもんだぜ」

そう言うと遊戯は急ぎ足で学校に向った

「瀬人君も大変ね 尽くしても尽くしても気持ちに気付いて貰えないなんて」

海馬の横を通り過ぎるユキ

「フン 貴様に関係無い」

「まぁ無理なら実力行使で気付かせるか ちゃんと告るとかしないとダメだと

思うけど」

実力行使って貴様何を考えている!!

そう思いながらも海馬の脳裏には、あられも無い遊戯の姿が・・・

「朝から何妄想してるの?実力行使って養子縁組とかの事言ってるのよ」

お父さんもお母さんも遊戯が海馬家に入るの賛成してたから

「貴様が言う様な妄想なんぞしておらん」

顔を赤くしながら否定する海馬に

「あっそう じゃ私も学校行って来るから瀬人君はしっかり仕事して来たら」

も〜瀬人君ってからかい易いんだから

ユキは掌をヒラヒラと振りながら学校に向う

 

全くあの女は食えぬヤツだ

一体何を考えているのか解らん

 

そう内心で悪態を付きながらベンツの乗り込む海馬

一端屋敷に戻り出社準備をしないといけないのだ

 

このまま遊戯と共に過ごす事が出来たらどんなに楽しいだろう・・・

 

遊戯を手に入れる為の手段を思案する

それは、何故か海馬の心を熱く甘くさせていた

まさか自分が1人の人間にここまで執着するとは・・・

だが遊戯には、そこまで価値が有るとい証拠なのだろう

 

遊戯には、本人も気付いていない何かしらの力を感じる時があるから

 

兄貴ってカッコイイのに浮いた話しが一つも無いなんて変だぜ

まぁ・・・兄貴の性格からにして付いて行ける女の人ってそうそう居ないと

思うけど・・・

兄貴の性格ならユキ姉と合うと思うんだけど・・・

こうなったらオレが瀬人兄貴とユキ姉をふっ付けてやるぜ

そうなったら兄貴がオレにチョッカイ出さなくなるだろうし・・・

 

チクッ・・・

微かに感じた胸の痛み

それが何なのか解らないまま遊戯は学校に向った






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