恋慕-6-

 


パーティを終え帰宅の途につく

余ほど疲れたのか遊戯は車中眠りに着いてしまった。

車窓に凭れながら

そんな遊戯を海馬は自分の方に抱き寄せながら寝顔を見詰める

 

貴様が望む事なら何でも叶えてやりたい

貴様が傍に居てくれるのなら命さえかけて守りたい

俺にとって貴様が全てであり俺が生きている証なのだから

 

どうすれば貴様を俺の元に繋ぎ止めておける?

 

実際海馬は何度も遊戯に手を出したかった

その温もりを感じたかった 求めたかった

でも遊戯が自分を求めてくれるのかが疑問で有り不安に逸材だった

無理強いて『お前なんか嫌いだ』なんて言われよう物なら自分は立ち直れないかもしれない

それが原因で逃げられたら・・・

国内なら連れ戻せるがエジプトなんかに行ったらそれこそアノ女に何を言われるか解らないし

自分の手に返してくれるのか解らない

 

自由な魂を拘束出来る術が有るのなら教えてもらいたい

 

かつて遊戯がニ心同体だった頃は<遊戯>の存在があったから遊戯が何処かに行くとは

思わなかった

ニ心別体になれば<遊戯>の存在が有っても遊戯個人に肉体が有れば何処かに行く

可能性は有る

だから誰の目にも触れさせたくなく遊戯には外出許可を与えなかった

本当はパーティだって参加させたくなかったでも自分の目の届く範囲以内なら問題無いと思った

でも今日の遊戯の態度は・・・

 

遊戯 貴様は何を考えている?

貴様の胸の内に有るモノを俺に曝け出してくれ

俺だけに・・・

 

 

 

 

 

 

 

翌朝・・・

カーテンの隙間から差し込む光によって目が覚める

辺りを見渡せば見慣れた調度品

自分の躰に掛けられているのは白いシーツ

遊戯は昨晩の事を思い出しながら

慣れないパーティで疲れ車内で寝た事に思い当たる

躰を起せば何時も自分が身に纏う寝夜着

きっと彼が着せ替えたのだろう

隣で寝ている筈の男の姿は無い

そこに居た事だけはシーツの皺で解るが既にその場所は冷えている

襟元から自分の胸元を覗けば在る訳が無い痕を探してしまう

 

そうだな・・・寝ている相手に海馬が着けるわけないか・・・

ヤルなら相手を起してヤルだろうからな・・・

相手が自分に感じている顔を見ながらヤルのが楽しいって言ってたもんな

 

ニ心同体だった頃の記憶・・・

遊戯はベッドの上から窓の方を見ながら

 

そう言えば明日からなんだよな

ゲームのモニター・・・

 

遊戯が着替え食堂に行った時には既に海馬は出社した後・・・

世話になっているから出来るだけ見送りには出るようにしているのだが

なかなか不規則な生活を送っている海馬を見送ってやる事が出来ない

だから帰宅する海馬を出迎える様には、している

でも今朝大門から言われたのは、海馬が暫く帰宅しない事

会社近くのマンションに寝泊まりをするらしい

遊戯が来てから海馬が居ない夜を迎えるのは初めての事

外出禁止をされている遊戯には逢う事が出来ない

以前の様に何かしら出来事が無い限り

食事を終え日課の敷地内散歩をする遊戯

海馬が居ない隙をついてメイド達が遊戯に女モノを着せ化粧を施す

海馬にバレタラ御咎めを受けるかもしれないのに

それでも彼女達は

「解雇以外なら怖くありません!綺麗な人を綺麗に飾るなんて目の保養じゃないですか!

男には解らない女の楽しみですよ」

彼女達は男だった頃の自分も今女で有る自分も受け入れてくれている

寧ろ女だと解った時の彼女達の喜び様は凄かった

(海馬には内緒だけどな)

彼女達の脳は目の前の出来事に順応出来るようだ

海馬も見習ってもらいたい

 

綺麗な人が綺麗にしてもいいじゃないですか!!(メイド談)

 

 

メイド達から程なくして解放された遊戯

部屋に戻れば遊戯の為に用意されたゲームの類

高価な調度品だらけの部屋に不釣合いなモノ

しかし遊戯にしてみれば用意されたゲームは簡単なモノばかり

半日も持たない・・・

残りの時間をどうやって過ごそうかと迷う

外に出てかつての仲間達と過ごせば半日なんてあっと言う間に過ぎるのに・・・寧ろ短い位だ

 

「外に出たいな」

 

塀の向こう・・・日本に連れて来られてパーティ以外で塀の向こうに行ったのは1度しか無い

遊戯の脳裏には、古代ファラオだった頃の事が思い出される

王宮に居た時も自分は何度も塀を見上げた

抜け出したりもした

その為どれだけ回りの人に迷惑をかけた事か・・・

懐かしい思い出

今の遊戯だってこの塀を越えるのは簡単な事

でもそれをしないのは、海馬が自分の事を相棒達に隠しているから

自分はバレテモ構わない

でも海馬は、快く思ってない

 

海馬ってオレの事どう思っているのかな?

 

その日の夕食は、モクバと2人で摂った

本当はモクバだって忙しいのに遊戯の事気遣って帰宅し夕食を共にしてくれたのだ

 

海馬この部屋・・・オレ1人では広すぎるぜ





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