紅玉-至高の宝-8


遊戯が静香姫と話しをしているその頃公務に就いていた瀬人。

本当は、今日一日遊戯の傍に居るつもりだったが何も知らない遊戯に公務へとかり出されたのだった。

浮ついた心。

瀬人の脳裏には、顔を真っ赤に染め潤んだ瞳でベッドの上に座る遊戯の姿が浮かんでいた。

恥じらいを見せる遊戯。

その遊戯をベッドに押し倒し柔らかい唇に自分の唇を重ね感触と味を堪能しながら華奢な躰のラインを

掌でなぞり衣服を剥ぎとる。

キスをしている最中、遊戯は上手く息継ぎが出来ないのか頭を左右に振り逃れ様ともがくがそれを許さないと

言わんばかりに貪る。

身を包む全てのモノを剥がされた肌理細やかな躰。

見られる事が恥かしいのか身を捩り隠そうとする仕草が余りにも可愛い。

触れてみれば柔らかい肌。唇が指や掌が遊戯の肌から離れ様としない。寧ろ吸いついて行くようだ。

恥かしいのか声を押し殺し初めて感じる快楽に飲み込まれ無いように必死に耐える遊戯。

「声を殺すな。俺に貴様の感じている声を聞かせろ」

自分の愛撫で感じる遊戯の声が聞きたい。

主張する可愛い胸の飾り。それを舌先で刺激し吸いつけばピックンと反応する遊戯。

まさかこんな可愛い飾りが遊戯の性感帯の一つとは・・・

反対側の飾りを指先で弄れば押し殺されていた声が堪えきれず上がるがそれが恥かしかったのか遊戯は、

自分の傍にあるシーツに少し噛みながら堪えようとする。

(全く・・・俺は、貴様の感じる声が聞きたいのに・・・でも初めてなのだから仕方が無いのか・・・)

無理強いは、しないこれから先じっくり調教し自分を慣れさせたらいいのだから。

今は、手に入ったばかりのこの躰を堪能する事に集中しよう。

そう心に決め瀬人は、小さく震えながら立ち上がりかけている茎に指を絡め上下に扱き出す。

人に触れられた事の無い場所に触れられ感じてしまう。

半透明の液がポタポタと零れ瀬人の手を汚して行く。

扱かれる度にニュチャニュチャと聞こえる水音。

顔を赤く染め涙を流しシーツを咥え快楽に耐えようとする遊戯。

その姿に瀬人の男根を痛い程張りつめる。

 

「遊戯・・・」

熱い吐息で遊戯の名を呼べば潤んだ瞳が瞼の隙間から覗く。

それだけでもイッテしまいそうになる。

まさか挿入しないでイキそうになるなんて瀬人にしてみれば前代未門だ。

それだけは、回避したい。

それなのに瀬人は、空いている手で遊戯の手を掴み痛い程張りつめている男根に触れさせる。

「!!!!」

逃げようとする遊戯の手をしっかり掴み握らせようとするがそれを否定するかのように遊戯の首が左右に

振られる。

「遊戯・・・貴様の躰に触れただけで俺のモノは、こんなに熱く固くなり貴様の中に入りたがっている・・・

遊戯 貴様の中に入りたい・・・そして俺を貴様の中でイカセテくれ。」

戸惑う遊戯の瞳・・・多分何処から入るのか解らないのだろう。

だから瀬人は、遊戯の手を解放し双丘の奥で眠る蕾を指の腹で擦りながら

「ココに入れたい・・・ココから貴様の中に入り俺の精子をぶちまけたい・・・」

遊戯の茎の様な男根から零れる液体によって濡れている蕾。瀬人は、その蕾に中指の第一関節を飲み

込ませる。

初めて受け入れる異物に硬直する躰。

「力を抜くんだ・・・それじゃないと貴様が辛いだけだぞ」

辛い?

辛いと言う事は、遊戯に苦痛を与えるのでは、無いか?

遊戯が俺に感じる顔を見てみたい・・・だが苦痛に歪む顔なんて見たくない。

それに挿入時痛みを伴うのでは・・・否・・・遊戯も痛いだろうが限界まで張りつめた俺も痛い筈・・・

それで快楽は、得られるのだろうか?

 

瀬人は、自分が思い描く妄想で疑問を抱く。

「・・・様・・・瀬人様・・・」

何処からともなく聞こえる呼び声。

しかし聞こえるは、愛しき遊戯の声では、なく側近の磯野の声。

「瀬人様如何されました?」

瀬人は、暫く辺りを見渡し自分何処に居るのか把握する。

まさか執務室で重臣共を前に呆けてしまうとは、それこそ前代未門と言うモノ。

しかしそれは、瀬人も人の子と言う事。

「瀬人様 折角ですから今日は、遊戯様との時間を過ごされる方がよろしいかと・・・」

重臣からの一言。

確かにこの浮ついた状態のまま質疑を行ってもまともな事を言えそうにない。

どんな手段であれ遊戯自身に内緒で遊戯を手に入れた。

恋焦がれた相手が手に入ったのだ能率が上がらないのも仕方がないのかもしれない。

「この質疑の続きは、追って連絡をする。」

そう言うと瀬人は、部屋を後にする。

「まさか皇帝が腑抜けにされようとは・・・遊戯とは、一体何者なのだ?」

「腑抜けとは、言い過ぎですぞ。誰しも大切にしたい宝がある。瀬人様にとってその宝が遊戯なのだ。

手に入れた宝の事を想えば腑抜けにもなろう」

「しかし身元がハッきりしない者を寵妃にするとは・・・」

「後宮には、他国の姫君が居られるのに」

「後宮の姫君達は、世継ぎを生ませる為だけの道具なのだろう」

各々言いたい事を言う重臣達。

遊戯が名門中の名門ウィザース国第二王子だと知れば平伏しか無いと言うのに・・・

遊戯の正体をしる磯野は、重臣達の態度の大きい言葉に哀れさを感じてしまう。

(瀬人様何時までも遊戯様の正体を隠しとおせませんよ。きっと何等化の方法でウィザース国の者が

遊戯様に接触をしてくるかもしれない。幾ら瀬人様の魔術が強かろうとも魔術においてウィザース国王には、

適わないかもしれません)

瀬人の後姿を見送る。

 

 

 

++++++++

 

何時もより早く終わった公務。

公務中に想像した遊戯との初めての行為。

乏しい想像だったとは、思うが瀬人は、想像でしか遊戯の裸を見た事がないのだ。

そう未だに遊戯の実際の裸を見た事が無い。

しかもキスでさえした事が無いのだ。

何度も寝ている遊戯を裸にしてその麗しい華奢な躰を見ようと思った事か。

だがその都度、遊戯に嫌われる事を怖れ脱がす事が出来なかった。

まさか自分が怖れを抱く相手が居ようとは・・・惚れた弱み故なのか・・・

思わず零れる笑み。もう焦らずとも怖れずともイイのだ。

どんな手段でも遊戯を手中に治めた。後は、どう遊戯に告白をするかが問題なのだ。

 

瀬人は、自室に戻ると衣服を楽なモノに着替えてから遊戯を探しに出る。

瀬人が真っ先に向ったのは、遊戯の部屋。

もしそこに居なければ中庭を探し更に居なければ厩舎に向うつもりだった。

遊戯には、厩舎に行かない様に言っているが・・・瀬人の脳裏に浮かんだのは、額から光を放つ遊戯の姿。

アノ遊戯になった場合多分瀬人の言う事は、聞かずに厩舎に向う可能性がある。

名前の解らない黒馬に会うために・・・

 

遊戯の部屋の前、扉を何度かノックをするも返事が返って来ない。

居ないのか?と思いは、したものの、その目で確認せずに居ないとは、断言出来ない。

もしかしたら職務中に不謹慎だが昼寝でもしているのかもしれない。

もしかしたらシャワーを浴びているのかもしれない。

シャワー・・・脳裏に浮かんだのは、シャワーから出るうっすらとした湯煙の中にたたずむ全裸の遊戯。

その表情は、気持ち良さそうで白磁の様な肌が更に輝きを増し得も言えぬ情景が思い描かれる。

 

心がトキメク。瀬人は、ノブを掴み中に入る。

「遊戯・・・居るのか?」

声を掛けてみるも返事が返って来ない。

居ないのか?と思いつつも室内に入って行くと椅子に腰をかけ机の上に俯せになっている遊戯を見つける。

「居るなら返事ぐらいしろ」

少しムス〜として言うがそれでも返事が返って来ない。

近付いて見れば遊戯は、スヤスヤと気持ち良さそうに眠っているでは、ないか。

「まったく・・・この俺に仕事をさせておきながら貴様は、夢の中か・・・」

呆れた様に言うがその顔は、何処か楽しそうでそれが無意識の内にしているとは、本人は全く気が付いていない。

 

(この俺がココまで執着したのは、貴様が初めてだ。

荒れ狂う嵐の様な感情も日だまりの様な穏やかな感情も貴様が傍に居ると目まぐるしく俺を襲う。

だがそんな感情も俺は、不愉快だと思わない。

貴様が居るとその感情でさえ心地良いモノに感じてしまう。)

 

遊戯の金糸の様な髪を梳きながら柔らかい頬に触れる。

 

(こんな事昔もした事がある・・・そうその時も貴様にしたような・・・)

そんな事は、有り得ない瀬人は、苦笑しながら眠る遊戯をその身に抱き抱える。

遊戯が居る場所は、自分の腕の中だと言いたいように。

 

しかし遊戯の頬にあてがわれていた湿った布を見て眉間に皺がよる。

頬に赤みは、差してないが少し腫れている様に見えた。

虫歯なのか?それとも誰かに危害を加えられた?

 

今朝一緒に居た時は、何とも無かった。

それに虫歯なら前々から何かしら異変がありそれを訴える筈、それが今迄無かった。

それ以外で考えられるのは、自分が傍に居ない間に危害を加えられたと言う事。

遊戯に危害を加えた者に対して怒りが込みあげて来る。

(一体誰が遊戯を・・・)

今尚眠る遊戯。

遊戯が起きたら問い詰めなくては、気が納まらない。



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