捕われて-7-
躰がダルイ。
何時もと違う肌触り・・・。
何時もと違う匂い・・・。
ゆっくりと目を開けるとハッキリしない意識の中で飛び込んで来た景色。
見馴れない家具。
見馴れない天井。
何処に居るのか解らない。
遊星は、伸びをする為腕をシーツから出す。
その際に感じる違和感。
何時もなら直にシーツの感触なんて感じないのに今日に限ってシーツの感触を感じる。
夢現だった遊星だったがシーツから出した自分の腕を見て目が覚める。
そして横になったままシーツの中を覗いて血の気が一気に引いて行くのが解った。
遊星が見たのは、一糸纏わぬ己が裸体。
何故パジャマを身に着けていないのか・・・。
そして自分が今何処に居るのか?
胸元をシーツで隠しながらベッドの上に座りハッキリと動かない脳で状況分析を開始する。
(昨日何が・・・あっ・・・そうだ私・・・)
昨日の夕方何が有ったのか思い出すとそのまま糸を辿る様に記憶が引き出されて行く。
(そうだ・・・私・・・あの男に・・・)
初めて会った男にデュエルを申し込まれ。男が勝てば自分は、男のモノになる事を承諾した。
そのデュエルで自分は、負けたのだ。
そして意に染まない相手に抱かれたのだ。
全てを思い出し胸が張り裂けそうになる程悲しく辛い思いが込み上げて来る。
月命日にデュエルをして今迄勝った事なんて無かった。
だから今迄月命日にデュエルは、しなかった。
なのに何故今回に限って自分は、月命日にデュエルなんてしたのだろう?
そんな事今更悔やんでも悔やみきれない。
自分の愚かさに今更後悔しても後の祭りなのだ。
涙が出そうになる。
だが泣く訳には行かない。
ココは、ジャックの部屋なのだ。
彼は、この部屋の何処かに居るかもしれない。
泣き顔なんて見られたくも無い。
(とにかく服を着ないと・・・)
遊星は、ベッドの端に座り自分が昨日着ていた服を目で探すが直に見つかる。
全てベッドの傍に落ちていたのだ。
立ち上がり服を拾おうとするが・・・
「エッ?何で・・・」
足に力が入らない。
遊星は、そのまま床の上に座り込んでしまう。
それでも何とか制服を身に纏いベッドの端に掴まりながら立ち上げろうと試みる。
足腰に違和感が有るがゆっくりとなら立ち上がる事が出来た。
一先ず乱れに乱れているベッドシーツを綺麗にしようと掛けシーツを捲ると紅い衣魚が目に付いた。
痛み出す心。
自分が処女だった証。
そして処女を失った証。
それを見ると涙が出そうになる。
少しでも泣いたら心が軽くなるのかもしれない。
だがココでは、泣きたくない。
あの男が居るかもしれない。
何が有っても泣き顔なんか見られたく無い。
彼女の心に潜む意地が彼女の涙を留めさした。
+++
ブロォォォォォ・・・
高速でモノクロスタイプのD・ホイールを飛ばしながら家路に急ぐ。
その表情は、不機嫌極まりない。
ジャックは、目の前の赤信号がとても煩わしく止まっている時間が長く感じられた。
このまま信号無視をしてしまいたいが対向車線には、巡回中のセキュリティのバイクが目に付く。
ここで問題を起こせばベッドの中に残して来た彼女に会う時間が勿体無い。
だがジャックの腕ならセキュリティを翻弄し巻く事やデュエルに持ち込み圧勝しチャラにする事だって容易に
出来るのだが時間が勿体無い。
この時ばかりは、赤信号を怨んでしまう。
逸る気持ちを胸に抱えジャックは、自分の部屋のドアノブに触れる。
ジャックの脳裏には、昨夜の艶めかしい遊星の姿が浮かぶのと同時に夢だったのかもしれないと言う思いに
駆られる。
そう思うとドアノブを引く事が出来ない。
否 夕べの事は、現実だが・・・もしかしたら自分が不在中に遊星は、逃げ出したのかもしれないとさえ思っ
てしまっている。
我ながら何と情けない事を考えているのだろう?そう思わずには、居られないが手に入れたくて仕方が無かった
相手なのだ。
しかし人を愛する事を知らない故に奪う事しか思いつかず。
卑怯な手だと解っていながらも彼女が負ける日『月命日』を選んだ。
何時までも扉の前に居たって仕方が無い。
居なければ無理にでも連れ戻せばイイだけ。
そう決めるとドアノブを引き扉を開ける。
中に入ればカレーのイイ匂いがしてくる。
誰かがカレーを温めている証。
だがこの部屋でそんな事をするのは、彼女しかいない。
彼女がこの部屋に居る事に安堵してしまう。
そして心が踊り出す。
扉の前迄は、重かった足取りが軽くなる。
早く彼女に逢いたい。
ジャックは、急ぎ足でキッチンに向った。
キッチンの入り口から中を覗けば制服に身を包みエプロンを着けた遊星の姿が在った。
人知れず安堵の溜息が漏れて来る。
人の気配を察したのか遊星がジャックの方を見る。
しかしジャックの方に近付こうとしない。
昨日の事が在るのだから仕方が無いとは、思うものの何だか許せない。
大股で遊星の所まで行くと小さな躰を抱きしめる。
「何をしていた?」
「あっ・・・その・・・昨日のカレーに御飯とチーズを入れていたの・・・」
「チーズ?」
「リゾット風になるから・・・もしかしてチーズが嫌いだった?」
冷蔵庫に入っていたチーズ。
ジャックの好き嫌いが解らないので勝手に使ってしまったけど・・・もしかして嫌いだったのだろうか?
それともリゾットの方が嫌いなのか?
この男の好き嫌いなんて本当に知らない。
抱きしめた躯の感触は、とても柔らかい。
シャワーを浴びたのだろうイイ匂いがする。
遊星を抱きしめていた手が次第に躰を上と下に別れて動き出す。
「!!!・・・やぁ・・・ヤメテ・・・」
優しく胸に触れていた手に力が込められ痛くて仕方が無い。
「ほ〜この弾力からにして着けていないのか?もしかして下もなのか?」
嬉しそうな声。
下に伸びていた手が太股に触れゆっくりと指先で丈の短いスカートの中に入って来る。
「おねが・・・い・・・」
震える声で懇願するもジャックは、行為を止めてくれない。
自分の手に反応し感じている遊星の姿をもっと見たいと言う思いが先行して止めるに止められなくなっていた。
小さな丘の谷間に指を擦りながら中指をジワジワと沈めながら微かに濡れている秘部に到達する。
「何だ?感じていたのか?こんな所をヌルヌルにして・・・。しかも俺を何時でも受け入れられ様に下着も着けず
に・・・。初めて男を受け入れSEXに目覚めたのか?淫乱なクイーン。」
ヌプッ・・・
挿し込まれた中指に躰を震わせながら
「・・・ちが・・・やめ・・・」
否定の声を上げるも遊星の一つ一つの反応がジャックを煽っているだけに過ぎない。
「違わない。お前は、俺が欲しいんだ。ココに俺を突っ込まれて快楽の海に沈みたいのだ。」
耳元で聞えるジャックの声が熱い・・・背に感じる彼の昂ぶりが昨夜の行為を思い出させる。
初めての行為。
恐怖心でイッパイだった。
でも心の何処かで興味があった。
友達同士の会話の中で性行為の話しは、よくでていたから知識としては有った。
しかしそれは、恋人同士がする事だと思っていた。
初めて会った相手とする行為じゃないと思っていたのに・・・まさか?・・・と思った。
初めて知った快楽に翻弄された。
受け入れるのは、痛くて辛いモノだった。
「俺に愛撫されながら意識そっちのけとは、余裕があるんだな 遊星」
耳元で聞えたジャックの声に現実世界に連れ戻される遊星。
「ベッドの上で抱いてやろうと思ったが気が変った。ココでお前を抱く。」
ジャックは、遊星を俯せのままシンク付近に押えつけると彼女の足を左右に開かせ細い腰を掴みながら器用に
勃起している自身を取り出し濡れいてる場所に宛がうと容赦無く一気に最奥まで突き入れた。
「ひぃぁぁぁ・・・・やぁ・・・はぁあ・・・」
「くっ・・・まだ狭いな・・・だがその内、俺の形を覚えるだろう・・・」
そう呟くとジャックは、遊星の腰を掴み動き出す。
「やぁ・・・いっ・・・いた・・・くっ・・・」
優しさなんて感じない。
ただ性欲を満たさんが為に犯されている様に思える。
激しく出入りしているモノが中を圧迫して辛い。
早くこの行為が終わってくれたら・・・と心の何処かで言っている。
1回で終わるなんて思ってない。
多分、気を失うまで犯されるだろう。
だって夕べもそうだったから・・・。
ああ・・・また中で熱いモノが弾き出された・・・