捕われて-13-
多少なりと流血シーンが在ります。
流血シーンが御嫌いな方は、読まれない事を御勧めします。
「おい!!女が居たぞ!!」
見つかってしまい大急ぎでその場を離れ様とする遊星。
(泣いてなんか居られない。早くこの場から逃げないと・・・)
「待て!!」「逃がすな!!」「早く捕まえろ」
方々から聞こえる声。
捕まるまいと必死に逃げる遊星。
男達は、遊星を追いかけるも捕まえる意思が見えない。
だがそんな事に構ってられない。
遊星は、必死だったのだ。捕まればもう二度とジャックに逢えない気がしたから・・・。
確実に一歩一歩と捕食者の元へ向かう足。
目に見えない張り巡らされたクモの糸に絡め取られる・・・鬼柳が張り巡らした糸に・・・
「ハァハァハァ・・・」
逃げまわった所為で息切れがして来る。
咽が乾く。疲れで眩暈がしてくる。
だが『逃げたい』『ジャックに逢いたい』と言う思いが遊星をかろうじて動かしていた。
逃げた建物の中。よろめきながら隠れられそうな場所を目で探す。
「ようやく来たか。遊星」
嫌な韻を含む話し方をしてくる男。
その声と同時に遊星の躰に異様な空気が絡み付くかの様な錯覚に陥る気がした。
確認なんてしなくても声の主が誰なのか解る。
「待ち草臥れたぞ。さぁオレを満足させる為にコッチに来い。」
「嫌よ!!」
躰に絡み付く異様な空気に躰が竦んで動かない。
本当に蜘蛛の糸が躰に巻きついている様だ。
「お前にオレを拒む事なんて出来ない。お前は、永遠にオレのモノなんだ。」
「冗談じゃない。私は、誰のモノでも無い。私は、私自身のモノよ!!」
そう言い切るも心の中に思い浮かぶのは、最愛の両親でも大切な従姉妹である十六夜アキでも無い。
デュエルで自分に勝ったジャックだった。
(こんな状況下でもアノ男の事思い出すなんて・・・そうとうイカレテルかもしれない。)
自分の考えに苦笑してしまいそうになる。
「遊星。お前の全ては、このオレのモノなんだよ。このオレを満足させる為のなぁ〜。
オイ、テメェ等ボッさてるんじゃねぇよ。さっさと遊星をオレの元へ連れて来い。」
異様な笑みを浮かべながら己が部下へと指示を出す。
青ざめ何かに怯えながらも鬼柳に従う男達。
何に怯えているのか解らない。だが男達に捕まるつもりなんてない。
伸びてくる男達の手から何とか身を交わしては、いるものの疲れが溜まって上手く避け切れない。
結局、足が縺れてしまい転倒した所を取り押さえられた。
そうなれば逃げる術が無い。
どう足掻いても体力差では、男に勝てないのだから・・・
寧ろ鬼柳に見つかった時点で逃げられるワケが無いのだ。
鬼柳の元に連れて行かれる遊星。
「ほぅ〜まだそんな目をしていられるのか」
捕まって尚、諦める事をしない遊星の蒼い瞳が鬼柳を見据える。
「ゾクゾクするねぇ〜。もっともっとオレを見ろ遊星!!そしてオレを満足させてくれぇ」
遊星は、鬼柳を見ながら尋常では無い何か悍ましいモノを感じていた。
そして鬼柳の部下達が一様に恐怖によって支配されている事を感じた。
「鬼柳さん連れて来ました。」
「オウ。」
「ヒィ〜・・・きっ鬼柳さん許して下さい!!嫌だぁ〜!!誰か助けてくれぇ〜!!!!」
連れて来られたのは、遊星が股間を蹴り上げた男。
しかも男根を晒されたまま両手両足を左右に広げた状態で固定されている。
直視出来ず目を逸らす遊星。
「たったっ・・・助けてくれクィーン!!」
捕われの身となっている遊星を見つけた男は、遊星に懇願するも遊星自身もまた捕われているので身動きが
出来ない。
「オイオイ。遊星、目を逸らすんじゃねぇ〜よ。じっくり見てやれよ。コイツが処罰を受ける様をよ。」
遊星の顎を捕らえ正面を向かせる。
「鬼柳さん・・・」
「あ〜」
手渡される刃物。
「オイ。遊星の顎をしっかりと固定させろ」
遊星を取り押さえている男に指示を出す。
何が行われるのか解っている男は、震える手で遊星の顎を掴み正面を向かせる。
「遊星、じっくり見て居ろよ。お前を逃がしてしまった哀れな男の姿を・・・」
狂気を孕んだ眼差しで今から処罰をする己が部下を楽し気に見上げる。
「やめて!!何をする気なの?自分の部下でしょ?」
「はぁ〜?部下だぁ?こんな役立たずがオレの部下だとでも言うのか?有りえね〜な。」
そう言うと高笑いをしながら己が部下だった男の男根を容赦無く切り落とした。
「これでもう女に蹴りを入れられも痛みを感じずにすむぜ。」
声無き悲鳴を上げた男は、余りの痛み故にか気を失っていた。
それを見てつまらなさそうにしている鬼柳。
床に転がっている男根を踏みつけながら
「目障りだ。ソイツを始末しろ。」
「あっ・・・はっはい!!」
気を失っている男と泥まみれになっている男根をその場から急いで片付ける男達。
余ほどの恐怖なのか失禁している者・股間を押さえている者・嘔吐している者・青ざめ気を失っている者、
様々な態度を示しているがそれらを見ながら
「はぁ〜?テメェ等それでもオレ様の部下なのか?根性ねえヤロ共だ。
そう思わねぇか?遊星。」
拘束されている遊星は、瞼を閉じる以外惨劇から目を逸らす方法が無い。
「遊星、お前も見てなかったのかぁ?お前は、このオレの女なんだ。オレがする事は、その目に焼き付けろよ」
「じょ・・・冗談じゃない・・・」
誰がこの男のモノになるもんですか!!
初めてサティスファクションのメンバーに会った時の事を思い出す。
イキイキとした表情で活気に溢れて楽しそうだった。
それに引き換えココに居る人達の表情は、暗く恐怖に支配されていた。
雲泥の差だ。
(もう一度逢いたい・・・ジャック貴方に・・・)
目の前に居る男の手の中に居る今どんな目に遭わされるか解らない。
もう二度と日の下で歩けるのか解らない。
遊星の心に芽生える『諦め』。
(さようなら・・・)
「遊星喜べ。お前には、このオレのモノだと言う証をその刻んでやる。」
何処か嬉しそうな顔で遊星に近付き血にまみれた手で遊星の顎を掴む。
「汚いで私に触れないで!!それに私は、貴方のモノになった覚えなんて無い!!さっきも言ったでしょ」
逃げられないと諦めながらもそれでも屈したく無い気持ちで何とか虚勢を張るが
血塗られた手で遊星の顔を撫でだす。
「自分の状況を把握するんだな。誰もお前を助けに来ない。お前は、このオレの傍に居てオレを満足させる
人生を歩むんだよ。」
血で汚れた遊星の顔を愛しげに見つめる。
「嫌よ!!」
それを拒絶する遊星。
「早くお前の顔にオレの刻印を刻みたいぜ・・・」
「お取り込中の所すみません」
「あ〜何だ?」
怯えた様に鬼柳に声をかける男。
「準備が出来ました。」
「持って来い。」
男が恐る恐る持って来たものは、異様な熱を放っている。
「さぁ〜遊星、刻んでやるオレの証を」
顔を引きつらせる遊星。
「嫌ぁ〜!!やめてぇ〜!!!!」