コール・ボーイ -Vol.5-
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海馬とのデュエルを初めてやって早一ヶ月が経つ
遊戯は、携帯を見つめながら溜息を吐く
あれから1度も電話がかかって来ない・・・
仕事が忙しいのだろうか?
と思うが少しでもいいから話しがしたいと・・・
声が聞きたいと思う
セト・・・今度の客は、お前にそっくりなんだぜ
きっとお前みたいに図々しい性格なんだろうなぁ〜
なぁセト・・・お前は今何してるんだ?妻子と幸せに暮らしているのか?
そこまで思って遊戯は、胸を締め付けられる感じがした
セトの元を離れたのは自分なのに・・・
彼は、最後まで遊戯と一緒に居る事を望んだ
それなのに自分は、彼の手を振り解き
彼を彼の従者に託し見送った。
彼が無事に安息の地に着く事を・・・
彼が好き人に巡り会える事を祈り・・・
携帯を握り締めながら苦しそうに俯く遊戯を彼の双子の弟ユギは、心配そうに見守っていた。
丁度その時
ブルルゥゥゥゥ・・・・
と携帯がマナーモードのまま振動し遊戯は、慌てて電話に出た。
ユギは、一瞬 海馬からの電話かと思ったが遊戯の話し方を聞いて客である事に気が付いた。
一ヶ月間 遊戯は、コール・ボーイの仕事をちゃんとこなしていた・・・
しかし帰宅して来た彼は何か物足りなさそうにしている
客が海馬だったらこんな彼は、見ないで済んだだろうに・・・
むしろこれがセトだったら・・・
ユギは、セトを探す決心をする
兄 遊戯には、内緒で・・・
--翌晩--
海馬は、1人高級レストランに来ていた。
滅多に外食は、しない何時もならサプリメント系で夕食は済ませる彼だが今日に限って何故か
お腹が空く・・・
海馬は、外の景色を眺めながら遊戯の事を思い出していた。
自分の最愛なる人と同じ姿形をした遊戯・・・
一緒になる約束をしておきながら自分の手を振り解き月世界に残った彼・・・
月華人の女を妻に迎えたと聞いた。
きっと今頃 妻子を仲睦まじい生活を送っているのだろう・・・
そう思うと複雑な心境に陥った。
ポケットの携帯を取り出すと一ヶ月前の事を思い出す。
遊戯は、今頃仕事をしているのだろうか?
俺以外のヤツとデュエルをしているのだろうか?
俺以外のヤツに微笑みかけているのだろうか?
そう思ってくると段々腹が立ってきた。
彼とそっくりな遊戯が自分以外に微笑むだと!!!
あの笑顔を見れるのは俺だけだ!!!
海馬は、徐に立ち上がりレジの方へ・・・
そこへ見慣れた顔が・・・
「遊戯・・・」
「海馬・・・」
遊戯は、仕事中だったらしく同伴の男と腕組をしていた。
その光景は、海馬を苛立たせ
無言のまま遊戯の二の腕を掴むと店外へ連れ出した。
「おい!!!君!!!『キング』は俺と食事をする約束なんだ邪魔をしないでもらおうか!!」
遊戯達の後を追い駆けてきた男が怒鳴ると
『キング』・・・?
コイツまさか遊戯の名前を知らないのか?
そう思うと海馬は、嬉しくなってきた。
「フン。貴様コイツから本名を教えてもらっていないようだな
そうなると貴様はコイツにとってとるに足らん相手の様だな
オイ遊戯 俺と来るか?」
相手を敵と見なしさらに相手を見下す海馬
「『キング』俺の所に来るんだ」
遊戯は、海馬と男を見比べながら
「すまない 俺は、コイツとこれからデートをする」
遊戯は、自分の腕を海馬の腕に巻きつけた。
「今の俺を満足させてくれそうなのは、コイツしかいない」
そう言って遊戯は、海馬と歩き出した。
「『キング』!!」
それでも縋ろうとする男に遊戯は
「俺は、女々しい男は嫌いだぜ・・・今後も俺と付き合いたいのなら男らしくなるんだな」
遊戯の発言に呆気にとられる海馬・・・
遊戯は、海馬の腕を引っ張りながら又、歩き出した
「遊戯・・・いいのか?仕事中だったんだろ?」
「店から連れ出しておいて今更言う台詞じゃないと思うぜ」
「そうだな・・・」
「海馬・・・お前 今デッキ持ってるのか?」
「ああ何時も持ち歩いている」
胸ポッケトから取り出されたデッキ
「じゃ何処かでデュエルしようぜ
この前の約束通り」
遊戯は、海馬の腕に回していた自分の腕を今度は、海馬の身体に巻き
海馬は、そんな遊戯の肩を抱き締めながら歩いた。
何とかして次で終わらせるぞ!!
って言うかお前ら気付けよ!!
未だに自分の想い人だと気が付かない2人・・・
鈍過ぎる!!
でもこの話しでは、最後まで気が付かないんです。
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