月華双月 -Vol.1-
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∽∽∽月華∽∽∽
あたりが全く見渡せない暗闇の中
城内にある小さな船着場・・・
その船着場は、城内に在るのにも拘らず誰一人として近づく事なく
古ぼけていた。
その船着場に3人の人影が・・・
2人は、既に船上していたが
「遊戯 俺と共に来い!」
差し出された手
遊戯は、その手を取らずに首を左右に振りながら
「セト・・・俺はお前と一緒に行けないぜ・・・
俺はココに残る」
遊戯の悲しそうな顔
「遊戯 俺と約束したでは、ないか!!」
「それでも行けないぜ」
セトは、船を降り遊戯の元に歩むとその腕を掴んだ
「セっセト!!」
あまりの早業に遊戯は、焦ったが何かを思いついたかのように
セトの腕を自分の方にひっぱり彼を中腰にさせその唇に自分のそれを重ねた。
互いの唾液を交換するかのような濃密な口付け
どれだけそうしていたのか判らない・・・
離された互いの唇から銀の糸が繋いでいた
その時 セトの身体が崩れた。
「ゆ・・・う・・・」
遊戯は、セトに強めの睡眠薬を飲ませたのだ
何時も自分が飲んでいる睡眠薬・・・
それをこんな事に使う事になろうとは
彼の身体を抱き抱え遊戯は、船に乗っている青年にセトを預けた。
「遊戯様・・・本当に一緒に来て下さらないのですか?」
セトを受け取った青年は、遊戯に尋ねると
「モクバすまない・・・俺は残ってやらない事があるんだ・・・」
モクバと呼ばれた青年・・・
長い黒髪を後ろで束ね
細身の長身・・・多分セトとそれ程身長は変わらないだろう
セトの従者にしてセトの腹心中の腹心
セトが唯一信頼している者
そして遊戯が唯一セトを託せる相手
「遊戯様また何時の日か御会い出来る日を」
「ああ・・・また会おう」
そう言うと船は、船着場から離れた。
小さくなっていく船を見詰めながら遊戯は、
「セト・・・新天地で幸せになってくれ」
祈るような言葉そして
「[ブラック・マジシャン]」
呼ぶと暗闇の中から紫の長衣を纏った男性が姿を現した
「遊戯様御呼びでしょうか?」
「[ブラック・マジシャン]お前は、俺の代わりにセトの元に行きセトを如何なるモノからも護ってくれ」
「遊戯様 私は、貴方様に忠誠を誓い貴方様のみに仕える守護獣です。」
「判っている・・・しかしセトの身に何か起これば俺は死んでしまう」
その言葉に[ブラック・マジシャン]は、覚悟を決めたのか
「遊戯様の御心のままに・・・私の忠誠は、永久に貴方のモノです。」
そう言うと暗闇に消えて行った
「す・・・すまな・・・い」
頬を流れるモノを拭う事を忘れもう見えなくなった暗闇をただただ見詰めていたが
「もう1人の僕 本当に後悔していない?」
「セトの事 気にいらねえけど・・・」
「ジョーノ〜」
「あっいやそう言うワケじゃないけど遊戯王子に泣き顔なんて似合わないって言うか・・・
きっとこの場にセトのヤツが居たら 笑顔で居ろ なんていうのかなぁ〜なんてな・・・」
慰めの言葉が苦手なジョーノ
しかし遊戯には、ジョーノが言いたい事が判って
「大丈夫だぜ それより城に戻ろう遣るべき事を遣らなかったらセトに怒られるぜ」
「さ〜すが遊戯王子!!」
暗闇の中から現れた女の子
「君は?」
ユギが尋ねると
「御師匠様から遊戯様の守護獣を言い付かっています[ブラック・マジシャン・ガール]です!」
「師匠?[ブラック・マジシャン]の事か?」
「は〜い!御師匠様がもし自分が遊戯様の守護が出来なくなったら私が遊戯様の守護獣になる
ようにって言ってました。」
[ブラック・マジシャン]は、何時の日かこの様な事が起きる事を予測し自分の弟子に全てを託し遊戯の命の
元セトのところに行ったのだった。
そんな[ブラック・マジシャン]に感謝しつつ
「[ブラック・マジシャン・ガール]宜しく頼むぜ」
そう言うと城内に戻って行った。


「コール・ボーイ」の続編
第二章の1回目は、過去です。
これから現世と過去の御話しが入り混じるんですよ〜




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